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BL大賞9位で奨励賞のお礼の番外編
約束
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「水平線から昇る太陽を見るのもいいものだな」
帰りの馬車の中、初日の出詣でが気に入ったらしい殿下はエラくご機嫌だ。
「お前の前世は興味深い」
ちょっと嬉しいね。でも、殿下の膝の上で横抱っこされてるのは嬉しくない。オレ、30過ぎてるんだよ?ブレないなあ。
「私が上手く説明できない事柄が多くて。新年ならではの料理やオブジェなどもあるんです」
殿下の口角が上がった。
「新年ならでは、か。お前のことは、どう料理したら新年らしく美味しく食べられるんだ?」
ホントにブレないなっ!
そんな言葉とはうらはらに、オレの後頭部をそっと持ち上げて、殿下の唇が額に触れた。
「これからも毎年、初日の出を見に行こう」
今でも、殿下がオレのことをいつまでも好きでいてくれる、とは思えないでいる。オレの気持ちに気づいてるのかな?だから『毎年』って約束をくれるのかな?
「そうですね。来年も連れて来てくださると嬉しいです」
「毎年だ」
ヤバい。ちょっと泣きそうだ。
「はい。毎年、お願いします」
殿下の唇が頬に触れる。
「もう、俺のそばから離れることは許さん。ずっとだ。ずっと初日の出を一緒に見に行くからな」
オレは返事が出来なかった。泣いちゃったから。殿下がオレを抱きしめた。
もう何エンドとか考えないで、殿下にホントに愛されてるって信じていいのかな。
オレは目を閉じて殿下に口付けた。
「離れません。ずっとおそばにおいてください」
目を開いて殿下を見上げた。
「今度逃げたら足枷を付けてやる」
「はい」
「手枷もだ」
「はい」
「牢にも入れるぞ」
「そんな目に合わないようにします」
オレは殿下の目許をそっと拭った。
「だから、泣かないでください」
殿下がオレの頭を抱え込んだ。
「泣いてなどない」
ゴメンね、もう泣かさないよ。
オレはどっこいしょ、っと殿下の膝から抜け出して、片膝をついた。
「殿下、愛しています。私と結婚してください」
殿下の手を取り甲に口付ける。殿下と目を合わせながら手を裏返し、唇で殿下の手袋を引っ張る。手首に指を這わせながら手袋を咥えて外し、手のひらに唇を押し付けた。
殿下の頬に朱が刷かれた。激レア殿下、いただきましたー!
「私と一緒に、歳を重ねてくださいますか?」
殿下が目をそらした。
「当たり前だっ!」
「ありがとうございます。幸せにします」
「約束だぞっ!」
「はい、お約束いたしま、う?」
照れ隠しかな?殿下が強引にオレを横抱っこしてきた。殿下の腕の中がオレのホームポジションだねー。照れるー!
ゲームとは似て非なるこの世界で、オレはオレとして殿下と生きていく。
オレ、殿下と幸せになるよー!
[完]
これにて終わりとさせていただきます。
お読みいただきありがとうございました(●︎´▽︎`●︎)
帰りの馬車の中、初日の出詣でが気に入ったらしい殿下はエラくご機嫌だ。
「お前の前世は興味深い」
ちょっと嬉しいね。でも、殿下の膝の上で横抱っこされてるのは嬉しくない。オレ、30過ぎてるんだよ?ブレないなあ。
「私が上手く説明できない事柄が多くて。新年ならではの料理やオブジェなどもあるんです」
殿下の口角が上がった。
「新年ならでは、か。お前のことは、どう料理したら新年らしく美味しく食べられるんだ?」
ホントにブレないなっ!
そんな言葉とはうらはらに、オレの後頭部をそっと持ち上げて、殿下の唇が額に触れた。
「これからも毎年、初日の出を見に行こう」
今でも、殿下がオレのことをいつまでも好きでいてくれる、とは思えないでいる。オレの気持ちに気づいてるのかな?だから『毎年』って約束をくれるのかな?
「そうですね。来年も連れて来てくださると嬉しいです」
「毎年だ」
ヤバい。ちょっと泣きそうだ。
「はい。毎年、お願いします」
殿下の唇が頬に触れる。
「もう、俺のそばから離れることは許さん。ずっとだ。ずっと初日の出を一緒に見に行くからな」
オレは返事が出来なかった。泣いちゃったから。殿下がオレを抱きしめた。
もう何エンドとか考えないで、殿下にホントに愛されてるって信じていいのかな。
オレは目を閉じて殿下に口付けた。
「離れません。ずっとおそばにおいてください」
目を開いて殿下を見上げた。
「今度逃げたら足枷を付けてやる」
「はい」
「手枷もだ」
「はい」
「牢にも入れるぞ」
「そんな目に合わないようにします」
オレは殿下の目許をそっと拭った。
「だから、泣かないでください」
殿下がオレの頭を抱え込んだ。
「泣いてなどない」
ゴメンね、もう泣かさないよ。
オレはどっこいしょ、っと殿下の膝から抜け出して、片膝をついた。
「殿下、愛しています。私と結婚してください」
殿下の手を取り甲に口付ける。殿下と目を合わせながら手を裏返し、唇で殿下の手袋を引っ張る。手首に指を這わせながら手袋を咥えて外し、手のひらに唇を押し付けた。
殿下の頬に朱が刷かれた。激レア殿下、いただきましたー!
「私と一緒に、歳を重ねてくださいますか?」
殿下が目をそらした。
「当たり前だっ!」
「ありがとうございます。幸せにします」
「約束だぞっ!」
「はい、お約束いたしま、う?」
照れ隠しかな?殿下が強引にオレを横抱っこしてきた。殿下の腕の中がオレのホームポジションだねー。照れるー!
ゲームとは似て非なるこの世界で、オレはオレとして殿下と生きていく。
オレ、殿下と幸せになるよー!
[完]
これにて終わりとさせていただきます。
お読みいただきありがとうございました(●︎´▽︎`●︎)
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