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ひゃくはち
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任せるって言ったのはオレだけどね。だからってこれは無いでしょー!
エレオノーラさんが置いていったオレ専用石鹸で、頭の先からつま先までツルツルピカピカに磨いてきましたよ。 適当に切ってた髪は今日、侍女さんが切り直してくれましたよ。以前に閣下が気に入った、うなじの見えるアシメントリーな前下がりですよ。香油を塗られた髪はツルツル艶々ですよ。湯浴みのあとにもみくちゃにされて、顔も別人のようにキラキラですよ。
陛下方との晩餐会だからそりゃイブニングドレスコードだわ。でもこのピカピカな生地にこれでもかってほど刺繍して宝石散りばめて。クラバットのタイピンからカフスボタンまで。
全部オレの瞳の色ぢゃないかー!
うん、確かに似合うよ。それは間違いない。だからってこれはやりすぎだよエレオノーラさん。
オレは鏡の中の自分を見て気が遠くなった。誰だよこの王子様・・・
「全部、閣下からの贈り物です」
オレの仕上がり具合いを確認しにきたエレオノーラさんがニマニマしている。
「もうすぐ閣下がお迎えにいらっしゃいます。喜んであげれば上手く操縦できますよ」
ん?なんか終わりの方の発言、変じゃない?
言ってるうちに閣下が来た。あ、オレの服、閣下の服の色よりワントーン薄い色だ。あれ?なんだか閣下の挙動がおかしいよ?その体勢、お姫様抱っこしようとしてる!?
エレオノーラさんの動きは素早かった。オレと閣下のあいだに割って入り、閣下の手をスパーン!とはたいた。
「閣下、お支度が崩れます」
エレオノーラさんの冷静な物言いに閣下が引き下がる。他のヤツに見せたくないとか閉じ込めたいとか聞こえてるけど、ここは聞こえてないふりだ、うん。
閣下の御家族は皆様いい方だった。王に王妃に王太子に王太子妃。降嫁されて今は侯爵夫人となられた王女とそのご夫君の侯爵。そして第2王子殿下。オレの緊張をほぐしてくださろうと気をつかってくださった。恐れ多くてお義父さんお義母さんなんて思えないけど、迎え入れてくださろうとするお気持ちは身に染みた。身に染みたけど・・・
いきなり婚礼の日取り決めになるのは、さすが閣下の家族だわー。
エレオノーラさんが置いていったオレ専用石鹸で、頭の先からつま先までツルツルピカピカに磨いてきましたよ。 適当に切ってた髪は今日、侍女さんが切り直してくれましたよ。以前に閣下が気に入った、うなじの見えるアシメントリーな前下がりですよ。香油を塗られた髪はツルツル艶々ですよ。湯浴みのあとにもみくちゃにされて、顔も別人のようにキラキラですよ。
陛下方との晩餐会だからそりゃイブニングドレスコードだわ。でもこのピカピカな生地にこれでもかってほど刺繍して宝石散りばめて。クラバットのタイピンからカフスボタンまで。
全部オレの瞳の色ぢゃないかー!
うん、確かに似合うよ。それは間違いない。だからってこれはやりすぎだよエレオノーラさん。
オレは鏡の中の自分を見て気が遠くなった。誰だよこの王子様・・・
「全部、閣下からの贈り物です」
オレの仕上がり具合いを確認しにきたエレオノーラさんがニマニマしている。
「もうすぐ閣下がお迎えにいらっしゃいます。喜んであげれば上手く操縦できますよ」
ん?なんか終わりの方の発言、変じゃない?
言ってるうちに閣下が来た。あ、オレの服、閣下の服の色よりワントーン薄い色だ。あれ?なんだか閣下の挙動がおかしいよ?その体勢、お姫様抱っこしようとしてる!?
エレオノーラさんの動きは素早かった。オレと閣下のあいだに割って入り、閣下の手をスパーン!とはたいた。
「閣下、お支度が崩れます」
エレオノーラさんの冷静な物言いに閣下が引き下がる。他のヤツに見せたくないとか閉じ込めたいとか聞こえてるけど、ここは聞こえてないふりだ、うん。
閣下の御家族は皆様いい方だった。王に王妃に王太子に王太子妃。降嫁されて今は侯爵夫人となられた王女とそのご夫君の侯爵。そして第2王子殿下。オレの緊張をほぐしてくださろうと気をつかってくださった。恐れ多くてお義父さんお義母さんなんて思えないけど、迎え入れてくださろうとするお気持ちは身に染みた。身に染みたけど・・・
いきなり婚礼の日取り決めになるのは、さすが閣下の家族だわー。
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