【完】ＢＬゲームに転生したオレは鬼畜王子から逃げだしたい

ひゃくに

    精神力をゴリゴリ削られた、閣下との対話から１週間。はたして閣下はどんな答えを出すのかな？

    「先生、なんか落ち着かないよ」
いつもの井戸端会議グループが、大きな待ち合い室の隅で固まっている。
「前の診療所の方が良かったねえ」
「のんびりできた」
口々に文句を言われた。
「皆さん、診療所の鍵はいつもの所にあります」
井戸端会議グループがいっせいに立ち上がった！病院に来てるとは思えない身軽さで診療所に向かって行く後ろ姿を見送ったオレは独り言ごちた。
「病院には用事が無いんだね・・・」

    彼らを見て思う。この病院にはオレ以外にも医者がいる。そしたらさ、医者の居ない地域に行った方がよくない？無医村を巡回するのもいいね。この村の居心地が良かったから落ち着くつもりだったけど。アルフォンスの畑から近いからしょっちゅう会えるのも良かったけど。

    でも、ここにはオレは必要ない。

    オレは今後の相談をすべく、院長に会いに行った。

    どうやら答えを出したらしい閣下がどデカい薔薇の花束を持って現れたのは、院長と話した３日後だった。