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ななじゅうはち

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    「だからって、なにも昼間から来なくても」
「閣下絡みだから、他に相談できる人がいないんだよ」
慌てなくても夜には行くんだからとブツブツ言ってるけど無視無視。研究用の畑に来ているアルフォンスに付きまとっちゃうよー。
「アルフォンスはどう思う?」
「エレオノーラさん、だっけ?その人の言う通りだと思うね」
むー。落ち着いて考えればそうなんだけどさ。
「クラウスの気持ちは分かるけど。建物だけじゃなく設備もなんだろう?貰うべきだ」
そーなんだけどさー。心情的にさー。
「医師としての君を必要としてる人のためだよ」
「あんまり大きい病院を貰っても、働いてくれる医師がいなければ意味がないじゃないか。運営資金だって無いし」
アルフォンスにジロリと睨まれた。
「資金は銀行で借りればいい。医師は大学病院にかけあって、月替わりででも派遣してもらえ。近隣からも患者は来るだろうから、研修目的で来てくれるだろうさ」
うー。逃げ場が潰されていくー。
    オレは不承不承頷いた。

    エレオノーラさんに手紙を出した。病院をお願いすること。そして診療所のホントの先生の名義にしてもらうことを書いて。

    「では、これで話しを進めますね」
「よろしくお願いします」
わざわざエレオノーラさんが来てくれた。いつも思うけど、アクティブだー。どう見ても女性向きじゃない大きな馬でやって来る。彼女の正体は絶対気にしちゃいけないね。うん。
    エレオノーラさんはオレをじっと見た。
「少し、坊っちゃまの話しをしてもかまいませんか?」
ホントは聞きたくないけど、オレは頷いて見せた。
「坊っちゃまは、ずっと何かに興味を示すことはないお方でした。それは王族として、誰かにつけ込まれる隙を見せないためです。そんな坊っちゃまが、初めて関心を持たれたのがクラウス様でした」
そのために色々努力されたんですよって、それだけ言ってエレオノーラさんは帰っていった。
    そー言われてもー。閣下はオレに面と向かっては何も言ってくれないしー。無言だもんな。判断のしようが無いよ。オレは設計図のたたき台を見ながらため息をいた。
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