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ななじゅうに

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    1ヶ月もいらなかったねー。体で話をするつもりだったんだけど。よもやエレオノーラさんがあんな風にお膳立てしてくれてるなんて。予想もしてなかったもんね。1日で済んじゃったよ。あ、首輪しなかったから出てったって言い忘れてた。今さらかな。
    しっかし、こんなに早く村に帰ったら、反対に心配されそー。まいったね。あー、先生と井戸端会議グループにお土産買わなきゃ。
    村に向かう駅馬車に乗ろうとしてたオレは、ふと気がついて足を止めた。
   駅馬車・・・。馬車かぁ・・・
    あ、そうそう、急いで帰らなくてもいいんだったわ。

    オレは隣国行きの馬車に乗った。

    7年になるかな?閣下の元から出奔する時に、走り書きみたいなお詫びの手紙と退学届けを置いてくなんて不義理をしたのに、研究室の教授は快くオレを受け入れてくれた。
「久しぶりだね、元気にやってるかな?」
「ご無沙汰しております。その節はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
頭を下げるオレをおしとどめる。
「何を言ってるんだい。君の抗生物質という発想がどれだけ人の助けになったか。君の功績は称えられるものだよ」
「いえ、実用化してくださったのは研究室の皆さんです」
「君は昔から謙虚だね。もっと威張ればいいのに」
「それは教授におまかせします」
教授が笑ってくれる。だってー、前世は謙虚が美徳な日本人なんだもーん。
「ところで教授、その抗生剤なんですが、持ち運びしやすい入れ物で少し考え付いた物がありまして」
「ほう。どんな物だね?」
「人体に影響が無く、抗生剤には強いけど胃液で溶ける、そのような物を作れないかと」
馬車を見て気がついた。馬車に乗るように、カプセルで抗生剤を胃に運べばいいんだよ。それなら全体的にコストが下がる。錠剤化にはまだ時間がかかるだろうけど、カプセルなら液体のままでいい。カプセル素材の開発の方が多分早い。オレは早速、教授と検討を始めた。

    村に帰るタイムリミットまで頑張ったけど、そう簡単にはいかなかったー。後は教授に託して研究室を出た。学校を出たところで足が止まる。

    「迎えに来た」
なんで閣下がここにいるのー!
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