【完】ＢＬゲームに転生したオレは鬼畜王子から逃げだしたい

ろくじゅうろく

    「こんなところを見られたら、僕は閣下に殺されるな」
アルフォンスが笑いを含んだ声で言う。
「２人分の食器と、アルフォンスのお泊まりセットを見られたらオレもヤバい」
オレも笑いのネタにする。アルフォンスから体を離した。
「抱いてあげようか？」
ニヤニヤを隠さないアルフォンスの顔が冗談だと語ってる。
「宰相候補君に殺されたくないなー」
「大丈夫だと思うよ？彼は僕を抱きたいみたいだから。処女ならいいんじゃないかな？」
処女という言葉に笑いが止まらなくなった。
「オレは処女じゃないから、閣下にバレないかなぁ？」
「試してみようか？」
「・・・それが出来たらいいのに・・・」
オレはか細い声で呟いた。
    アルフォンスはオレの顎をすくい、重ねるだけのキスをした。もう一度抱きしめられる。オレはアルフォンスの体温を堪能しながら、ほんの少しだけ、眦に涙が浮かべた。