64 / 141
ごじゅうきゅう
しおりを挟む
閣下のもとを去って2年。
オレは田舎で医者の助手をしながら過ごしている。オレの名前の医師免許は使えないもんね。
この村にも抗生剤は流通している。心の中でちょっとドヤ顔しちゃったよ。でも錠剤にはできてないかー。入れ物代の上乗せや、輸送にはコストがかかるしリスクもある。錠剤化の研究をできなかったのが残念だね。次の患者を呼ぼうとして、なんか見覚えのある人だって気付いた。
「家政婦さん・・・」
か、閣下にバレた!?焦った顔のオレに、家政婦さんは優しく微笑んだ。
「坊っちゃまにはお伝えしておりません」
坊っちゃまって、閣下のこと?
仕事を早引けさせてもらって、家政婦さん、エレオノーラさんにオレの部屋に来てもらった。閣下のところとは段違いに安い紅茶をだす。
「坊っちゃまは、不器用な方なのです」
エレオノーラさんは話しだした。あ、そう言えばエレオノーラさんは閣下の乳母さんだったって思い出した。だから坊っちゃま?その坊っちゃま、とてもじゃないけど不器用には見えないけどなぁ?オレの疑問を理解したエレオノーラさんが苦笑する。
「そうゆうところを、クラウス様に見せられないヘタレなところが不器用なんですよ」
ヘタレって・・・公爵閣下ですよ?エレオノーラさんは安い紅茶を飲んでくれた。
「『手の者』は私の方で抑えていますので、坊っちゃまがこちらに来ることはありません。出来れば、クラウス様から坊っちゃまの方へお出でいただけませんか?一度、坊っちゃまの素直な気持ちを聞いていただきたいのです」
必要なら閣下の手を縛っときますから、だって。問答無用でベッドに連れ込まれたら話を出来ないからね。うん。それよりエレオノーラさん、怖いことをサラッと言いましたよ?『手の者』を抑えてる?エレオノーラさんって何者・・・?行く気になったらエレオノーラさんに連絡するって約束した。閣下がどんな風に『不器用な坊っちゃま』なのか知りたくなったから。
オレは田舎で医者の助手をしながら過ごしている。オレの名前の医師免許は使えないもんね。
この村にも抗生剤は流通している。心の中でちょっとドヤ顔しちゃったよ。でも錠剤にはできてないかー。入れ物代の上乗せや、輸送にはコストがかかるしリスクもある。錠剤化の研究をできなかったのが残念だね。次の患者を呼ぼうとして、なんか見覚えのある人だって気付いた。
「家政婦さん・・・」
か、閣下にバレた!?焦った顔のオレに、家政婦さんは優しく微笑んだ。
「坊っちゃまにはお伝えしておりません」
坊っちゃまって、閣下のこと?
仕事を早引けさせてもらって、家政婦さん、エレオノーラさんにオレの部屋に来てもらった。閣下のところとは段違いに安い紅茶をだす。
「坊っちゃまは、不器用な方なのです」
エレオノーラさんは話しだした。あ、そう言えばエレオノーラさんは閣下の乳母さんだったって思い出した。だから坊っちゃま?その坊っちゃま、とてもじゃないけど不器用には見えないけどなぁ?オレの疑問を理解したエレオノーラさんが苦笑する。
「そうゆうところを、クラウス様に見せられないヘタレなところが不器用なんですよ」
ヘタレって・・・公爵閣下ですよ?エレオノーラさんは安い紅茶を飲んでくれた。
「『手の者』は私の方で抑えていますので、坊っちゃまがこちらに来ることはありません。出来れば、クラウス様から坊っちゃまの方へお出でいただけませんか?一度、坊っちゃまの素直な気持ちを聞いていただきたいのです」
必要なら閣下の手を縛っときますから、だって。問答無用でベッドに連れ込まれたら話を出来ないからね。うん。それよりエレオノーラさん、怖いことをサラッと言いましたよ?『手の者』を抑えてる?エレオノーラさんって何者・・・?行く気になったらエレオノーラさんに連絡するって約束した。閣下がどんな風に『不器用な坊っちゃま』なのか知りたくなったから。
82
お気に入りに追加
4,276
あなたにおすすめの小説
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
竜王陛下、番う相手、間違えてますよ
てんつぶ
BL
大陸の支配者は竜人であるこの世界。
『我が国に暮らすサネリという夫婦から生まれしその長子は、竜王陛下の番いである』―――これが俺たちサネリ
姉弟が生まれたる数日前に、竜王を神と抱く神殿から発表されたお触れだ。
俺の双子の姉、ナージュは生まれる瞬間から竜王妃決定。すなわち勝ち組人生決定。 弟の俺はいつかかわいい奥さんをもらう日を夢みて、平凡な毎日を過ごしていた。 姉の嫁入りである18歳の誕生日、何故か俺のもとに竜王陛下がやってきた!? 王道ストーリー。竜王×凡人。
20230805 完結しましたので全て公開していきます。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する
135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。
現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。
最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される
田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた!
なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。
婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?!
従者×悪役令息
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる