【完】BLゲームに転生したオレは鬼畜王子から逃げだしたい

たれぽんた

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ごじゅうなな

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    「あ、そうそう、これ、頼まれてた研究レポート」
え?何も頼んでないよ?アルフォンスが殿下に見えない角度でニヤッと笑った。これ、殿下に知られない方がいいやつだね?オレは普通に礼を言って受け取った。

    それはアルフォンスに別れの挨拶をした時の出来事。オレは閣下のいない時にそのレポートを見た。中味はオレも知ってるような古い物。念の為にちゃんと読んでたら、1枚だけ厚い用紙があった。気になってこすってると、はらり、と分かれてアルフォンスの字が出てきた。大使館に、オレの保護を依頼する書類。
    うーん?閣下から逃げたい時に使えってこと?だよね?アルフォンス、気が利くねー。旅行カバンの底板を外し、オレは見つからないように書類を隠した。

    使わなくて済んだら良かったんだけどねー。服と一緒に上着の下に隠した書類の事を考えながら、オレは図書室に行った。手早く以前の質素な服に着替える。人が居ないことを確認して廊下に出たオレは、そのままそっと使用人棟に向かった。オレの顔を知ってるのなんて上級使用人だけ。下働きの人達とは会う機会が無い。オレは下働きの人達に紛れ、使用人の通用口から外へ出た。

    オレが大使館に行った日は、何かの冗談のようにタイミングが良かった。ちょうど交代のため、今の大使が国へ帰る日だったんだ。大使の馬車は中を調べられることなく、オレはその日のうちに我が国を出国した。
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