【完】BLゲームに転生したオレは鬼畜王子から逃げだしたい

たれぽんた

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よんじゅうろく

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    その顔を見て、オレは自分がとんでもない間違いをしてしまったことに気付いた。

オレだけじゃない。
殿下にとってもここは現実なんだ・・・

オレは監禁陵辱から逃げることばかり考えてた。無意識に、殿下はゲームの中の人だと思ってたんだ。
だから、オレがいなくなれば殿下には違う想い人ができるって簡単に考えてた。
ちゃんとした人間は、オレとアルフォンスだけだと思ってた?
傲慢なその自分の考えに気付き、オレは愕然としてしまった。そんなオレを、殿下が酷薄な笑みを浮かべて見下ろした。オレの首に手をかけてベッドに押し倒す。
「このままくびり殺せば、もう他の男の所へは行けないな」
じっと殿下を見つめていたオレは、力を抜いて目をつむった。
「殿下のお気に召すままに」
殿下を人殺しになんかしたくないけど、鬼畜王子にもなってほしくない。オレ1人くらい殺しても、護衛さん達がどうにかしてくれるよね。殿下の指に力がこもった。どうせなら一思いに殺っちゃってー!
    いつまで待ってもそれ以上の力が加わらないので、オレはそっと目をあけた。初めて見る殿下の苦悶の表情。
「死ぬほど、私が嫌なのか?」
違ーう!そんな表情かおさせたい訳じゃなーい!オレはお互いになんの誤解も生まないよう、殿下を見つめて端的に言った。
「ずっとお慕いしておりました。ですが、殿下が私に割いてくださるお時間があまりに長いと、色々と弊害が出ると思いました。殿下のご迷惑になるなど本意ではありません。そのため、おそばを離れました」
「嘘だ」
「お慕いしております」
「あの男を助けるために言っているのだろう?」
「お慕いしております」
オレの首を掴んでいる殿下の手に手を添え、グッと力を入れる。殿下が慌ててオレの手を振り払った。
「何をしたいのだ?」
「どうぞ、殿下のお気に召すままに」
殿下がひどく優しそうに、それでいてまったく温かみの無い声で告げた。
「そうか、では望むようにしてやろう」

    それからの1週間。オレは部屋から、正確にはベッドから。風呂とトイレ以外は出してもらえなかった。
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