【完】ＢＬゲームに転生したオレは鬼畜王子から逃げだしたい

よんじゅういち

    「遠かったろ？はるばる来てくれて嬉しいよ」
彼、アルフォンスは諸手を挙げてオレを迎えてくれた。
「いやいや、転がり込ませてもらうのに、喜んでもらうのは肩身が狭いよ」
「ソファだけれどね。それで良ければいつまででも」
オレをくつろがせる冗談を言いながら、アルフォンスは手ずから緑茶を入れてくれた。
「懐かしいなぁ」
「ティーカップなのがイマイチだけどね」
「手に入るだけ羨ましいよ」
「で、ここまで来た理由は聞いてもいいのかな？」
オレはちょっと困った顔をしてしまった。
「言いたくないなら、無理には聞かないよ？」
置いてもらうのに隠し事はしたくない。オレは前世で妹にやらされた、ＢＬゲームの登場人物に自分が酷似してることを説明した。さすがにヤッたことは言えなかったけど・・・
「信じられないとは思うけど、オレが違う行動をとっても、何となくゲームに似た感じになるんだ」
オレはそう締めくくった。しばらく考えてたアルフォンスは、オレの予想の遥か上を行く返事をしてきた。
「信じるよ。君なら、僕の言うことを信じてもらえると思うし」
アルフォンスは緑茶を飲んだ。
「僕は、乙女ゲームの攻略対象なんだ」