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さんじゅうさん

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    「これは、成功じゃないか?」
教授の言葉に研究室の面々が色めきたった。培養した菌液にかけた薬剤が菌を溶解したのだ!
    隣国に来て1年半。やっと抗生物質として使えそうな結果が出た!出来れば前世のように錠剤にしたい。そこまで言うのは贅沢かな?はー、ようやく殿下のところへ帰れるよー。10日くらい研究室に泊まり込みだったもんね。一度なんか殿下が直々に迎えに来たよ。オレの鬼気迫る様子を見て素直に帰ったけど。殿下の顔が見られて嬉しー、とか、わざわざ迎えに来てくれて嬉しー、とか思ったのは秘密だ。うん。

    やっと帰ったらさー、静か~に殿下が怒ってるんだよ。眉間にシワが寄ってる。えっ?何で?オレ何かした?
「クラウス」
「・・・はい」
「以前、私は歩いて帰るな、と言ったな」
オレが研究室に泊まった時は、次の朝、殿下を学校に送ってきた馬車で帰る。今回は今日も泊まりのつもりで帰らせたんだけど、夕方に終われたから帰って来た。
「歩いて帰ったのではありません。研究室の同僚に乗せてもらいました」
ドヤ顔で言ってみる。ちゃんと守ってるよー。でもでも殿下の顔に青筋がたってる・・・なんでー?いきなりお姫様抱っこされて部屋に拉致られた。そのまま風呂に放り込まれる。
「他の男の臭いを落としてこい!」
はっ?何それ?いや、風呂には入るけどね。
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