【完】ＢＬゲームに転生したオレは鬼畜王子から逃げだしたい

じゅうろく

    食事が済んで紅茶を飲みながら、オレは研究ノートを広げた。今日は移動で勉強出来てないからね。真面目な話、殿下よけではない。だから居間に行かず、明るい食堂にいる。オレのノートを殿下が後ろから覗き込んだ。
｢それがクラウスの研究か？｣
｢はい。ご覧になって面白いものではありませんよ？｣
オレは前世で言うところの抗生物質を研究している。我が国で行った研究データを化学式やら何やらに書き起こしているのだ。
    紅茶を飲み終わった殿下が腰を上げた。
｢もう休まぬか？｣
魅惑のバリトンのお誘いが腰に来るー！でも、本当にこれを進めたいんだ。隣国に着くまでに、ある程度は形にしておきたい。
｢もう少し片付けますので、殿下は先にお休みください｣
それにキングサイズのダブルベッドはお断りだ。オレは居間のソファで寝る。
    今日はここらへんでって思ったあたりでテーブルがオレに近寄ってきた。そのままテーブルに懐いて記憶が途切れた。