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第5話:選択

3.悩み

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放課後。放課後になってしまった。
結局どうしようか決められていない。授業中も考えてしまって、授業の内容がどんなものだったか覚えていない。いや、いつも授業内容覚えているかと言われたら、微妙だけど。

「ひろき、部室行こうぜ!」

俺はどうしたいのか、わからなかった。ここ数日、そーいちやなぎさ、嘉瀬君たちといて楽しかった。「何やってんだ」と思う時もあったけど、みんなといて楽しかったんだ。そーいちは俺だから誘ったんだという昌志の考えを聞いた時、少し嬉しい気持ちもあって、入ってもいいかなとも思った。思ったけど。

「早く見つけないとなー、あと1人!これは俺の勘だけど、今日見つかる気がする!」

…怖いんだ、ずっと。入ってみたい気持ちはある。そう考えるたびに、思い出してしまうんだ。人と関わるのが、怖くて仕方ないんだ。

「…ひろき?」

今でも、たまにクラスが騒がしい時、誰かが俺のこと話してるんじゃないかと思う時がある。

「ひろき。」

一回でもそう思うと、もうダメなんだ。もう。

「ひろ…」
「もうやめてよ!俺は普通に過ごしたいのに!」

俺は、また想像で何か肩に当たったと思い、それを払うように気づいたらそう叫んでいた。叫んだ後に気づいた。そーいちが俺の肩に手を乗せたということに。

「あ、いや、そーいち…。」
「ごめん、俺が悪いんだ。」
「違う、これは…っ。」
「安心して、みんなもう帰って教室には俺とひろきだけ。座ろっか。」

そーいちはそう言って、俺を椅子に座らせた。

「はい、ハンカチ。」

そーいちは、そう言ってハンカチを俺に渡してきた。

「え?」
「泣いてるから、拭かないとでしょ。涙。」
「泣いてる…?」
「え、気づいてなかった?」
「うん。」
「じゃあ、今気づいててよかったな。俺だけにしか見られてない。」

そーいちはそう言って、笑った。

「…そーいちに見られた時点で最悪だよ。」
「おい、冗談だよな?」
「…。」
「冗談だよな!?」

そう言ってるそーいちを見て、笑ってしまった。そーいちも笑った。

「あー俺もうサボろうかなー!部活。」

そーいちはそう言った。

「は?なんでだよ。お前は行けよ。」
「面倒臭くなってきた。」
「はあ!?」
「冗談だよ。さっきのお返し。」
「なんだよ。…俺に気を遣って言ったのかと思うじゃん。気を遣うなよ。俺、そういうの嫌だし。」
「知ってるよ。でも、気を遣うかもな。」

そーいちはそう言った。

「え?」
「だって、ひろきの友達だし、もっと仲良くしたいし、助けになりたいって思うし。だから、ひろきのこと思って気を遣う時あると思う。」
「…。」
「だから、ひろきも俺に気を遣えよ!」

そーいちはそう言った。

「最後ので台無しだわ。そーいちらしいけど。」
「そう?」
「褒めてないからな。」
「…やっぱり、約束なかったことにしてもいい?」

そーいちはそう言った。

「え?」
「部員集めながら考えたんだ。ひろきを嫌々入れていいのかって。だから、約束はなかったことにしよう。ひろきが入りたくなったら、その時は言って。」
「俺は…。」
「今じゃなくていい。明日でも、一カ月後でも、来年でも。入りたくなかったら、入らなくていいよ。」
「本当にそう思ってる?」
「そりゃ、入ってくれたら嬉しいよ。楽しいこと間違いなしだし!でも、嫌々入ってひろきが楽しいのかといったら違うと思って。」
「そっか。そーいち、俺は…」

と俺が言いかけた時、

「ゴーーン」

と誰かが何かにぶつかった音がした。

「いったーーっ!…あ。」

音がした後ろの方を見ると、アホ毛一本立っている男子が足をおさえながらドアの前でこっちを見ていた。
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