24 / 29
第5話:選択
3.悩み
しおりを挟む
放課後。放課後になってしまった。
結局どうしようか決められていない。授業中も考えてしまって、授業の内容がどんなものだったか覚えていない。いや、いつも授業内容覚えているかと言われたら、微妙だけど。
「ひろき、部室行こうぜ!」
俺はどうしたいのか、わからなかった。ここ数日、そーいちやなぎさ、嘉瀬君たちといて楽しかった。「何やってんだ」と思う時もあったけど、みんなといて楽しかったんだ。そーいちは俺だから誘ったんだという昌志の考えを聞いた時、少し嬉しい気持ちもあって、入ってもいいかなとも思った。思ったけど。
「早く見つけないとなー、あと1人!これは俺の勘だけど、今日見つかる気がする!」
…怖いんだ、ずっと。入ってみたい気持ちはある。そう考えるたびに、思い出してしまうんだ。人と関わるのが、怖くて仕方ないんだ。
「…ひろき?」
今でも、たまにクラスが騒がしい時、誰かが俺のこと話してるんじゃないかと思う時がある。
「ひろき。」
一回でもそう思うと、もうダメなんだ。もう。
「ひろ…」
「もうやめてよ!俺は普通に過ごしたいのに!」
俺は、また想像で何か肩に当たったと思い、それを払うように気づいたらそう叫んでいた。叫んだ後に気づいた。そーいちが俺の肩に手を乗せたということに。
「あ、いや、そーいち…。」
「ごめん、俺が悪いんだ。」
「違う、これは…っ。」
「安心して、みんなもう帰って教室には俺とひろきだけ。座ろっか。」
そーいちはそう言って、俺を椅子に座らせた。
「はい、ハンカチ。」
そーいちは、そう言ってハンカチを俺に渡してきた。
「え?」
「泣いてるから、拭かないとでしょ。涙。」
「泣いてる…?」
「え、気づいてなかった?」
「うん。」
「じゃあ、今気づいててよかったな。俺だけにしか見られてない。」
そーいちはそう言って、笑った。
「…そーいちに見られた時点で最悪だよ。」
「おい、冗談だよな?」
「…。」
「冗談だよな!?」
そう言ってるそーいちを見て、笑ってしまった。そーいちも笑った。
「あー俺もうサボろうかなー!部活。」
そーいちはそう言った。
「は?なんでだよ。お前は行けよ。」
「面倒臭くなってきた。」
「はあ!?」
「冗談だよ。さっきのお返し。」
「なんだよ。…俺に気を遣って言ったのかと思うじゃん。気を遣うなよ。俺、そういうの嫌だし。」
「知ってるよ。でも、気を遣うかもな。」
そーいちはそう言った。
「え?」
「だって、ひろきの友達だし、もっと仲良くしたいし、助けになりたいって思うし。だから、ひろきのこと思って気を遣う時あると思う。」
「…。」
「だから、ひろきも俺に気を遣えよ!」
そーいちはそう言った。
「最後ので台無しだわ。そーいちらしいけど。」
「そう?」
「褒めてないからな。」
「…やっぱり、約束なかったことにしてもいい?」
そーいちはそう言った。
「え?」
「部員集めながら考えたんだ。ひろきを嫌々入れていいのかって。だから、約束はなかったことにしよう。ひろきが入りたくなったら、その時は言って。」
「俺は…。」
「今じゃなくていい。明日でも、一カ月後でも、来年でも。入りたくなかったら、入らなくていいよ。」
「本当にそう思ってる?」
「そりゃ、入ってくれたら嬉しいよ。楽しいこと間違いなしだし!でも、嫌々入ってひろきが楽しいのかといったら違うと思って。」
「そっか。そーいち、俺は…」
と俺が言いかけた時、
「ゴーーン」
と誰かが何かにぶつかった音がした。
「いったーーっ!…あ。」
音がした後ろの方を見ると、アホ毛一本立っている男子が足をおさえながらドアの前でこっちを見ていた。
結局どうしようか決められていない。授業中も考えてしまって、授業の内容がどんなものだったか覚えていない。いや、いつも授業内容覚えているかと言われたら、微妙だけど。
「ひろき、部室行こうぜ!」
俺はどうしたいのか、わからなかった。ここ数日、そーいちやなぎさ、嘉瀬君たちといて楽しかった。「何やってんだ」と思う時もあったけど、みんなといて楽しかったんだ。そーいちは俺だから誘ったんだという昌志の考えを聞いた時、少し嬉しい気持ちもあって、入ってもいいかなとも思った。思ったけど。
「早く見つけないとなー、あと1人!これは俺の勘だけど、今日見つかる気がする!」
…怖いんだ、ずっと。入ってみたい気持ちはある。そう考えるたびに、思い出してしまうんだ。人と関わるのが、怖くて仕方ないんだ。
「…ひろき?」
今でも、たまにクラスが騒がしい時、誰かが俺のこと話してるんじゃないかと思う時がある。
「ひろき。」
一回でもそう思うと、もうダメなんだ。もう。
「ひろ…」
「もうやめてよ!俺は普通に過ごしたいのに!」
俺は、また想像で何か肩に当たったと思い、それを払うように気づいたらそう叫んでいた。叫んだ後に気づいた。そーいちが俺の肩に手を乗せたということに。
「あ、いや、そーいち…。」
「ごめん、俺が悪いんだ。」
「違う、これは…っ。」
「安心して、みんなもう帰って教室には俺とひろきだけ。座ろっか。」
そーいちはそう言って、俺を椅子に座らせた。
「はい、ハンカチ。」
そーいちは、そう言ってハンカチを俺に渡してきた。
「え?」
「泣いてるから、拭かないとでしょ。涙。」
「泣いてる…?」
「え、気づいてなかった?」
「うん。」
「じゃあ、今気づいててよかったな。俺だけにしか見られてない。」
そーいちはそう言って、笑った。
「…そーいちに見られた時点で最悪だよ。」
「おい、冗談だよな?」
「…。」
「冗談だよな!?」
そう言ってるそーいちを見て、笑ってしまった。そーいちも笑った。
「あー俺もうサボろうかなー!部活。」
そーいちはそう言った。
「は?なんでだよ。お前は行けよ。」
「面倒臭くなってきた。」
「はあ!?」
「冗談だよ。さっきのお返し。」
「なんだよ。…俺に気を遣って言ったのかと思うじゃん。気を遣うなよ。俺、そういうの嫌だし。」
「知ってるよ。でも、気を遣うかもな。」
そーいちはそう言った。
「え?」
「だって、ひろきの友達だし、もっと仲良くしたいし、助けになりたいって思うし。だから、ひろきのこと思って気を遣う時あると思う。」
「…。」
「だから、ひろきも俺に気を遣えよ!」
そーいちはそう言った。
「最後ので台無しだわ。そーいちらしいけど。」
「そう?」
「褒めてないからな。」
「…やっぱり、約束なかったことにしてもいい?」
そーいちはそう言った。
「え?」
「部員集めながら考えたんだ。ひろきを嫌々入れていいのかって。だから、約束はなかったことにしよう。ひろきが入りたくなったら、その時は言って。」
「俺は…。」
「今じゃなくていい。明日でも、一カ月後でも、来年でも。入りたくなかったら、入らなくていいよ。」
「本当にそう思ってる?」
「そりゃ、入ってくれたら嬉しいよ。楽しいこと間違いなしだし!でも、嫌々入ってひろきが楽しいのかといったら違うと思って。」
「そっか。そーいち、俺は…」
と俺が言いかけた時、
「ゴーーン」
と誰かが何かにぶつかった音がした。
「いったーーっ!…あ。」
音がした後ろの方を見ると、アホ毛一本立っている男子が足をおさえながらドアの前でこっちを見ていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした
黒足袋
青春
インターネット上で†吸血鬼†を自称する最強ゲーマー・ヴァンピィ。
日向太陽はそんなヴァンピィとネット越しに交流する日々を楽しみながら、いつかリアルで会ってみたいと思っていた。
ある日彼はヴァンピィの正体が引きこもり不登校のクラスメイトの少女・月詠夜宵だと知ることになる。
人気コンシューマーゲームである魔法人形(マドール)の実力者として君臨し、ネットの世界で称賛されていた夜宵だが、リアルでは友達もおらず初対面の相手とまともに喋れない人見知りのコミュ障だった。
そんな夜宵はネット上で仲の良かった太陽にだけは心を開き、外の世界へ一緒に出かけようという彼の誘いを受け、不器用ながら交流を始めていく。
太陽も世間知らずで危なっかしい夜宵を守りながら二人の距離は徐々に近づいていく。
青春インターネットラブコメ! ここに開幕!
※表紙イラストは佐倉ツバメ様(@sakura_tsubame)に描いていただきました。
隣の席の関さんが許嫁だった件
桜井正宗
青春
有馬 純(ありま じゅん)は退屈な毎日を送っていた。変わらない日々、彼女も出来なければ友達もいなかった。
高校二年に上がると隣の席が関 咲良(せき さくら)という女子になった。噂の美少女で有名だった。アイドルのような存在であり、男子の憧れ。
そんな女子と純は、許嫁だった……!?
物理部のアオハル!!〜栄光と永幸の輝き〜
saiha
青春
近年、高校総体、甲子園と運動系の部活が学生を代表する花形とされている。そんな中、普通の青春を捨て、爪楊枝一本に命をかける集団、物理部。これは、普通ではいられない彼らの爆笑アオハル物語。
男子高校生の休み時間
こへへい
青春
休み時間は10分。僅かな時間であっても、授業という試練の間隙に繰り広げられる会話は、他愛もなければ生産性もない。ただの無価値な会話である。小耳に挟む程度がちょうどいい、どうでもいいお話です。
野球の王子様3 VS習志野・練習試合
ちんぽまんこのお年頃
青春
聖ミカエル青春学園野球部は習志野に遠征。昨年度の県内覇者との練習試合に臨むはずが、次々と予定外の展開に。相手方のマネージャーが嫌味な奴で・・・・愛菜と取っ組み合い?試合出来るの?
【完結】箱根戦士にラブコメ要素はいらない ~こんな大学、入るんじゃなかったぁ!~
テツみン
青春
高校陸上長距離部門で輝かしい成績を残してきた米原ハルトは、有力大学で箱根駅伝を走ると確信していた。
なのに、志望校の推薦入試が不合格となってしまう。疑心暗鬼になるハルトのもとに届いた一通の受験票。それは超エリート校、『ルドルフ学園大学』のモノだった――
学園理事長でもある学生会長の『思い付き』で箱根駅伝を目指すことになった寄せ集めの駅伝部員。『葛藤』、『反発』、『挫折』、『友情』、そして、ほのかな『恋心』を経験しながら、彼らが成長していく青春コメディ!
*この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件・他の作品も含めて、一切、全く、これっぽっちも関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる