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第2話:部活作り

5.考えとく

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「あ、おかえりー。見つかった?」

部室探しが終わり、そーいちと今野君がいる教室に戻ってきた。そーいちは俺に気づいて手を振りながら言った。

「うん、見つかったよ。昌志が協力してくれた。」
「まさし?」
佐野さの昌志。去年同じクラスだったんでしょ?」
「あー、佐野君ね。そうだよ。去年同じクラスだった。」

と、そーいちは言った。

「そのまさしって人は部活入ってるんですか?」

と、今野君が聞いてきたので俺は

「うん、放送部に入ってて、同時に生徒会にも入ってる。だから忙しいだろうね。」

と言った。

「そうなんですか…。」

昌志をなんでも部に誘おうと思っていたのか、今野君はそう言ってしょんぼりした。が、開き直ったのか、

「あ、盛山先輩見てください!先輩が部室探している間に2人でチラシとポスター作ったんですよ!!しかも、印刷まで!」

と言ってきた。

「そうなんだ。見ていい?」
「いいですよ!」

なぎさがそう言ったのを聞き、俺はチラシを手に取って見る。

「どうですか…?」
「うん、いいんじゃない?ざっくりしてるなとは思うけど、大丈夫だと思う。」
「良かったー。そーいち先輩に『とりあえず、ひろきにオッケーもらったら大丈夫だから。』って言われてたので。」
「何でだよ。」
「ひろきに認められると安心感あるんだよ。でも良かったー。コピーもしてたし、訂正となったら大変だったな。」
「あ、でも気になるところはあるよ。活動場所、この教室でいいの?部室見つけたんだから、そこでいいんじゃない?」

そう言いながら俺は部室を思い出す。…思い出して言う。

「あ、やっぱ直さなくていいかも。」
「え、なんで?」
「いや、昌志に空き教室紹介されて、中見たんだけど…。」
「広かったですか?部活できそうですか?」
「うん。…掃除すれば。結構物置きにされてて、ほこりもすごかった。」
「うわー、ダルいね。」

と、そーいちは言った。

「ダルいって言うな。」
「じゃあ暫くはこの教室ですね。」

そう今野君が言った。

「そうだね。それか、今から掃除しに行く?今から特にすることないでしょ?」
「あーそうですね。面倒くさいですけど、そうしますか。」
「えー…。俺はトイレに行ってくるよ。」

と言いながら、そーいちはこの教室を出ようとする。俺は言う。

「お前、逃げようとしてるだろ。」
「ギクッ。」

とそーいちは言って、立ち止まった。

「そーいち先輩って掃除苦手なんですか?」
「そうなんだよ。」
「ねえ、俺チラシ訂正しとくから、2人で掃除してきてよ。」

そーいちはそう言った。

「3人で掃除した方が早く終わるから、諦めて来い。」
「あ、いいこと思いつきましたよオレ!1番掃除した人が1番掃除してなかった人にお菓子奢ってくれるってのどうです?」
「何それ。」
「いいね、やろう!絶対ひろきに奢ってもらう!」

と、そーいちは目を輝かせて言った。

「そーいち、そう言ってるけど、途中で掃除飽きるんじゃないの?」
「大丈夫。俺もう先行ってるから。部室どこ?」
「2階の左奥の教室…」
「じゃあ先行ってる!」

そーいちはそう言って走っていってしまった。なぜかスクールバックを持って。

「早く行っても意味ないのにな…。」
「どうしてです?」
「だって、部室の鍵持ってるの俺だもん。」
「なるほど…。あ、オレも先に行ってますね。」
「え、何でそうなる!?」
「だって、最後に教室を出る人は鍵を閉めて、職員室に鍵返さないといけないんですよね?学校の規則なんですよね?」

そう言いながら、今野君はスクールバックを持つ。

「え、ちょっと待っ…」
「待てません!では!!」

そう言って、今野君は去っていった。あいつら、部室の鍵持ってないけどいいのかな…。チラシも置きっぱなしだし。
俺はスクールバックとチラシとポスターを持ち、教室の鍵を閉める。その時、チラシを1枚だけ落としてしまった。

「あ、やべっ。」

そのチラシは近くの階段に落ちていってしまった。チラシとポスター、ファイルに入れてスクールバックの中に入れてた方がよかったな。
俺は持っているチラシとポスターをファイルに入れ、スクールバックにしまってから、チラシが落ちたであろう階段を下っていった。どうせ職員室に行くのにここの階段使ってたから、こっちの方に落ちていってある意味良かったかもな。

しかし、落ちたと思う場所を何度探してみても見当たらなかった。もしかして、誰かに拾われたかな?活動場所のところ部室に書き換えてないんだけどな。大丈夫かな?




「あっ、ひろきー!」

鍵を返し、2人のいる空き教室へ向かうとそーいちが俺を見つけたのか、そう言って大きく手を振っていた。

「もう遅いですよ。」

今野君はそう言った。

「お前ら、せめて俺からここの教室の鍵貰ってからいけよ。」

俺はそう言った。

「じゃあ、鍵開けてからスタートな。ひろき、お願い。」
「了解。」

俺はそう言って、鍵を開けた。

「「スタート!」」

そーいちと今野君はそう言った。1番最初に勢いよく入ったのは今野君だった。そーいちもそれに続けて入ろうとする。

「あ、ちょっと待ってそーいち。」

俺は思わずそーいちを呼び止めた。

「何?」
「あ…あの、ちょっと考えてもいいかなーと思った。」
「何が?」
「部員のこと。」
「え、本当に!」

そーいちはそう大声で言った。

「ちょっと考えただけだから!4月までっていう約束はまだあるからな。」

俺は慌ててそう言った。

「ちょっと、2人で何話してるんですか?早くしないと、2人に奢ってもらいますよ!」

今野君は俺らが話してることに気づいたのか、そう言った。

「ひろき、俺はいつでも待ってるから。」
「はあ、とりあえず俺は掃除に移るね。昨日負けてそーいちの肉まん奢っちゃったし、もうお金少ないからね!」

俺はそう言って、教室に入った。

「え、ちょっと!俺が先に入ろうとしてたのに!」

そーいちはそう言って、俺に続いて教室に入った。


第3話に続く。
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