ちょっと不気味な話(2/9更新)

警告

『危険！』
『落下注意！』

　おそるおそる見上げる。何もないじゃないか。思わず嗤うと途端強い風が吹き、異様な浮遊感を感じた。

「お前が落下物になるんだよ」





「規制線なんか使わなくても、ニヤニヤ笑って手招きする奴がいる方が効果的だよな」

　友人に同意を求められたが、お前は人間の腕が入る程度の隙間から何が見えているんだ？





　立入禁止区域なのに、態々立ち入る人っていますよね、釣りとか遊泳とか自殺とか。試行錯誤の結果、牽制と警告のために一番目に付く場所を原色で塗ってみたんです。するとグッと減りましたよ。それでも一年に数人いらっしゃいますけど、短時間で大人しく帰宅して下さるので目を瞑ってます。まるで中身がまるっと別人にすり替わったと関係者の方は何処かホッとした様子で仰られます。





　酷い、看板に偽りありだ。飛行するなら書いておいてくれないと……そしたら俺の息子は悲鳴をあげずに逃げられたのに……。