ロウドウ怪談(11/17更新)

狂言巡

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「美味しいワイン、作れます。未経験者歓迎、ワインの社員割引有り」

 写真を拡大してみると、大量の血が垂れている逆様の顔が映っていたので諦めた。





 今日もゴミ袋が山のように積まれていく。泣き声、呻き声、悲鳴、謝罪が聞こえても、持ってくる人間が「ゴミ」と言い張ればそれまで。





 健康診断で病院に入ったら、心不全と診断されて死んだ事にされた。

「ドナーがね、足りないんだよ。期限もあるし、有効活用しなくちゃ」





 家族経営の会社で代々受け継がれる特殊マスクは、子供の警戒心を解く隠しアイテム。手を繋いだりして流れてくる思い出に侵食されて本来の仕事(誘拐又は暗殺)を忘れてしまうのが玉に瑕。





 証拠隠滅に向いてますよと差し出されたのは金魚鉢。

「金魚が喰ってくれるってか?」
「いいえ、溶けるんですよ。骨も残りません。普通の水で大丈夫です」
「リスクは?」
「指しか効果がないんですよ」





 ちゃーんとお金は振り込んであるよ。後は君が死ぬだけだ、簡単だろう?





 人形医は困った。患者を連れてきた親族は、彼女が人形だとすっかり信じこんでいるから。





 毎日捨ててもキリがない。

「笑いにしてやってんだから感謝しろよブスwww」
「女の仕事は家事と子育て」
「痴漢が嫌なら外に出るな」
「男が育休とるな不倫でもするのか?」
「百点とれない子供なんて産むんじゃなかった」
「ちゃんとしないからいじめられるのよ」

 何にもなくても袋屋は大儲けだな。





 酔っ払った客が置いて行った壺から幽霊が出てくるようになった。オーナーは怖いのが駄目で、キャバ業務の片手間にやっている呪い屋代行をその部屋でしたら出なくなった。呪力アップするかなと思ったのに残念だ。





 露店を出す事が許されているその広場に、時折「バイバイ屋」が現れるという都市伝説がある。持っていったものを「倍」にしてくれるのだとか。器物でも生物でも、持てる物なら何でも。倍にされた物は劣化していくとも、増えた分だけ代わりに何か減っていくなど展開は様々だが、増えていく事と増える事を止める方法が不明という事は共通しているようだ。





「私が隠し屋にございます」

 裁縫箱を持ってきた女は頭を下げる。

「何でも隠してくれるそうですが」
「ハイそうです。さて、何処に隠しましょう」

 女は針と糸を取り出した。
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