ロウドウ怪談(2/26更新)

狂言巡

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カフェ

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 姉が経営するブックカフェに盗みに入った不届き者は、大体殺虫剤を吹きかけられた虫のように転がって気絶しているのを翌朝発見される。何でも恐ろしい形相のお面と目が合ったのだとか。あの店には眼があるインテリアなんて置いてないのにな。





 今テラス席を使っているのは男性二人だけなのに、歓喜で開けられた窓からは女性の声が聞こえてくる。動画を見ているわけではなさそうだし、幽霊かな。そんな空想を思い浮かべた時、背を向けている壁から「聞こえてるんじゃない」と嬉しそうな女性の声が聞こえた。





 閑古鳥が鳴いていたカフェはオーナーと営業時間が変わって今や満員御礼。日が完全に落ちてから楽しそうな話し声と食欲を誘う香り。でもあの店の詳細を語る者を誰も知らない。





 喫茶店に入って、気紛れに座ったその席、視界の端にちょうどインテリアの人形が入って落ち着かない。ちらちらと気にしていると、ちょうど隣に座っていた老婦人が「用もないのに女の子をじろじろ見ちゃいけないよ」と一言。えッと思って人形を見ると、首だけそっぽを向いていた。





 交通の便が悪いが歴史ある土地で古民家カフェを開店した。嫌な事や辛い事を進んで肩替りする者はそうそう居ないから、誘き出すのだ。





 古民家を改装したカフェには、インテリアの一部としてブラウン管式のテレビが置いてある。当然アンテナもないしコンセントも繋いでいないのに、閉店ぎりぎりの時間に、時折モノクロのニュース番組が映るらしい。アナウンサーはショートカットの若い女性で、いつも逆さ言葉で何かニュースを読み上げているらしい。





 知り合いがやってる喫茶店の名前は「ポルタガ」。由来は単純、店主の体質か土地の所為なのか知らないが、物が勝手に動くのだ。店主は飲食物と会計には悪戯されないので全く気にしていない。





 新感覚が売りのカフェ『生首』は御一人様で来店及び相席が絶対条件。お喋り、愚痴、自慢話。好きなだけお楽しみ下さい。





 同窓生が集落の廃校舎をリノベしたカフェを開いたと聞いて訪れた。校舎に入って後ろで鍵の閉る音を聞いた途端、今の今まで忘れていたが、自分を含めた不良仲間の煙草の失火が原因で全焼した事を思い出した。





 亡くなったまたは破局した恋人(男女問わず)として振る舞ってくれるカフェだ。たまに本人が混じっている。用事があるのは客だけではないのだ。
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