もののけ奇譚(10/29更新)

狂言巡

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「山菜、食べに来ない?」

 友人宅で山菜尽くしの昼食に舌鼓を打ち、礼を言うと近くの山に棲む狢がもってきたのだという。首から下は人間だが頭部はそのままの狢が子供を連れて、野菜を分けてもらいにきた。彼らが住む山は今年は不作で、畑には父と祖父がたくさん罠を(正確には動物よけではなく、DQNにんげん対策だ)仕掛けているから手が出ない。不憫に思った友人はちょうど作っていたけんちん汁を鍋ごとあげた。
 そして春めいてきた今頃、戸口の前に鍋から溢れんばかりの山菜がおかれていたのだという。
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