2 / 4
祖母
しおりを挟む
「コンビニ行った時何かこの辺の子じゃない子がうろうろしてたよ、通報した方がいいかな」
「そりゃ私だよ」
痴呆を心配した孫を他所に、祖母は古いアルバムを持ってきた。指し示す劣化で黄ばんでいる写真は確かに、先程見かけた子供そっくりだ。
「何で……?」
「男と出て行ったおっ母を今でも探してんのかねぇ」
往生した祖母の遺品の中に『月の化石』なる物があった。念のために鑑定に出すと化石ではないとの返事。何だ偽物かと肩を落とせば、鑑定士が探るような目つきで続けた。
「人骨です」
祖母から貰ったお手製のお守り。本当にたまになのだが、中から咀嚼音が聞こえる。
祖母に小皿を口に突っ込まれる夢を見た。目が覚めると口の中には瀬戸物の破片が。半分は現実だったらしい。祖母は私が七歳を迎える前に亡くなっている。
突然死んだ人は、自分が死んだ事になかなか気づかない事があると言う。強風で落ちた植木鉢に頭を砕かれた祖母は、今日も遺体と共に片付けられた紫苑の鉢植を探している。
「そりゃ私だよ」
痴呆を心配した孫を他所に、祖母は古いアルバムを持ってきた。指し示す劣化で黄ばんでいる写真は確かに、先程見かけた子供そっくりだ。
「何で……?」
「男と出て行ったおっ母を今でも探してんのかねぇ」
往生した祖母の遺品の中に『月の化石』なる物があった。念のために鑑定に出すと化石ではないとの返事。何だ偽物かと肩を落とせば、鑑定士が探るような目つきで続けた。
「人骨です」
祖母から貰ったお手製のお守り。本当にたまになのだが、中から咀嚼音が聞こえる。
祖母に小皿を口に突っ込まれる夢を見た。目が覚めると口の中には瀬戸物の破片が。半分は現実だったらしい。祖母は私が七歳を迎える前に亡くなっている。
突然死んだ人は、自分が死んだ事になかなか気づかない事があると言う。強風で落ちた植木鉢に頭を砕かれた祖母は、今日も遺体と共に片付けられた紫苑の鉢植を探している。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
口承怪談(2/1更新)
狂言巡
ホラー
「――さて、次は誰が話すんだい?」
身の毛もよだつ怪奇談から、些細な奇怪談を集めました。
古今和洋問わず、さまざまな異界へ個性豊かな語り部どもが御案内いたします――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる