私の『一行怪談』(3/9更新)

狂言巡

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学校

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  「屋上に向かう赤いスカートを履いた女生徒に声を掛けてはいけない」という先輩を廊下の角から見ている女生徒のスカートが夕焼け色。





 風邪で休んだけどちょっと退屈になって、テレビを点けるとクラスの皆が先生を校庭の隅に埋めていた。





 学校の人体模型は、鎖で縛られて棺桶に入っているものだとずっと思っていた。





 昨日モンスターペアレントに胸倉を掴まれて外に連れていかれたまま戻ってこない教諭の名前を、誰も思い出せない。 





 校内の掲示板に貼られる「ニンゲンのぬいぐるみを探しています」という藁半紙に教師達は頭を悩ませている。





 子供から学校の七不思議を聞いて「あのババア死んでも教師やめてないのか」と吐き捨てる2児の父。





 授業で描いた絵を「私はこんなブスじゃない」と破いて焼いてついでに私を殴った母は職場で溺死したらしい。





 ステレオから流れる合唱コンクールの課題曲は、全員の断末魔だった。





 その学校で難なく過ごす為には、いつ目覚めるか判らない地縛霊を鎮める為に降霊術を習得しなければならない。





 とある学校の、いつまでも撤去されない焼却炉は、夕方になると内側からノックする音と共に「火をくれー」という叫び声が聞こえてくるそうだ。





 動物を飼わなくなったのは放課後に飼育小屋から女の絶叫が聞こえてくるからだと、卒業してから知った。





 解体待ちの旧校舎に居る先生を挟み撃ちにしたらどっちも後ろ姿なんだって、ほんとかなぁ。





 毎朝校門の前で「子供を返して」と怒鳴っている中年女の腹が、少しずつ膨らんできている事に気付いた。





 息子が火を点けた飼育小屋が、卒業式を迎えるごとに小学校の敷地内に一つ増えていく。





 行方不明の先生の奥さんがびしょ濡れで教室の一番後ろに立つようになったが、手をあげるのが恥ずかしくて言えない。
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