青春は甘くない

狂言巡

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走馬看花

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「自殺したぁ?」
「はい」

 何言ってんの、この電波。嘘ならもっとマシなの付きなさいよ。四六時中真顔のアンタが言うとシャレにないないでしょ!

「あれ? 信用してません?」
「当たり前でしょーが。大体アイツが自殺なんてのがありえないの」
「じゃあ確かめに行きます? 来てないんです。……まぁ当たり前、なんですけど」

 普段は呆れるほど仏面頂なクセに、妙にニヤニヤ笑っちゃって(口元だけで)。なら確かめてやろうじゃん。教室……いない。屋上……いない。校舎裏……いない。保健室……いない。

「って、ちょっ、ユキ、どこ行くのよ」

 気付けば後輩が踵を返していた。てゆーか、いつも纏わりついてるナツもいなくない?

「どこって……別にどこにも行きませんけど?」
「あっそ」

 なんか今コイツ消えそうだとか、何考えてんのあたし! ……あ、まだシュウにも会ってないじゃん。ん? アイツ……なんで休み時間なのに会いにこないわけ? それにアイツと同じクラスだよな? コウと同じクラスだっけ? あ、そうだ。アキ。朝校門で風紀調査してたアキは? カノンもまだ見てないよね。

「まだ諦めつかないんですか?」
「あたしの辞書に諦めなんてないの」
「初耳です」

 コイツのふてぶてしいのはいつもの事……だけど。あれ? マジでハルは今どこいんのっ?!

「いい加減、気がつかないんですか?」

 なんでコイツの声だけこんなに近いわけ? あぁ、廊下だか……

「……ら響くんだ。とか考えてません?」
「なぁっ?!」
「やっぱり。周り、よく見てください。ねぇ、何が見えます?」
「学校……」
「本当に?」

 なに言って……。

「冗談です。というか夏都華なつか先輩ほんとに覚えてないんですね」
「は?」

 え、ちょっと待て。はい? あたしなんか忘れてるわけ?

「……今日、昼休みにミーティングだって言われてるんですけど」
「あー! そうじゃん!」
「それで私は夏都華先輩を呼んでこいって言われたんです」
「じゃあなんであたしはこんな走り回らなきゃなんなかったのよ?」
「連れてくる時に、遅刻の罰として走り回してから連れて来いと春猫さん指示されました」
「アンタ巻き添え?」
「私は走ってません」

 そういえば走ってる間コイツいなかった気が。

「それと春猫さんのクラスの前で待ってれば走り疲れた夏都華先輩が来るだろうって」
「ああ、そう」

 後で覚えてなさいよ、ハルのヤツゥ。シュウも迎えに来なさいよっ。

「夏都華先輩? 行きますよ?」

 第一コイツもコイツよ。

「後でカラオケ付き合いなさいよ」
「……それは勘弁願います、ロックばっかりで耳が疲れるんですよ」
「よくまぁそれを先輩の前で口に出すわね?」
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