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廃墟
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ある廃屋へ肝試しに行くと、どの部屋にも大量のフォトスタンド置かれていた。写真が入っていない。変なのと一つ手に取ってみると、まるで誰かに触れたような、生温かさがあった。
地元の廃墟には「いつでもお入り下さい」と書かれた看板とスリッパが置いてある。人数分きっちり。
「でもたまに四人で行ったのに五人分とかあるみたい。一体誰をカウントしてるんだろうね」
何かの施設だったらしい廃墟へ行った。一〇四の番号が振られた部屋だけ施錠されていたが、地窓があったのでそこから中を覗く。男と逃げたという母、母を探しに行った父、そして見知らぬ女の子がちゃぶ台を囲んで何やら楽しそうに喋っているのが見えた。
『念仏が聞こえる』と噂される廃屋に行ってみた。念仏というのはガセだ、何かが延々と名前を呟いているだけ。録音するために近づくと、男らしき低い声が年配の女性の声に変わる。亡母とよく似た声は自身の親族の名前を三親等まで告げて黙ったが、俺の名前は終ぞ呼ばれなかった。
窓は割られ、何故か扉までなくなっている廃墟にやってきた。
「おじゃましまーす」
なんて言いながら中に入ると、ガチャンガチャンと施錠音が複数続いた。
地元の廃墟には「いつでもお入り下さい」と書かれた看板とスリッパが置いてある。人数分きっちり。
「でもたまに四人で行ったのに五人分とかあるみたい。一体誰をカウントしてるんだろうね」
何かの施設だったらしい廃墟へ行った。一〇四の番号が振られた部屋だけ施錠されていたが、地窓があったのでそこから中を覗く。男と逃げたという母、母を探しに行った父、そして見知らぬ女の子がちゃぶ台を囲んで何やら楽しそうに喋っているのが見えた。
『念仏が聞こえる』と噂される廃屋に行ってみた。念仏というのはガセだ、何かが延々と名前を呟いているだけ。録音するために近づくと、男らしき低い声が年配の女性の声に変わる。亡母とよく似た声は自身の親族の名前を三親等まで告げて黙ったが、俺の名前は終ぞ呼ばれなかった。
窓は割られ、何故か扉までなくなっている廃墟にやってきた。
「おじゃましまーす」
なんて言いながら中に入ると、ガチャンガチャンと施錠音が複数続いた。
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