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天気【子世代】
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「明日の天気は雨だねぇ」
別に占いの結果や予知夢でもなく、今までの経験からでもない。ただ天気予報を見ていたからの発言だった。今回は当たり目らしい。その証拠に先程からどうも空模様が怪しい。そして風も湿り気を帯びている。だから自分の確信は正しい。それでも彼女は首を横に振る。
「ちゃいますよ、晴れます」
「……美空ちゃんはアタシの言う事が信じられないのかい?」
「それかてどーせどこぞから電波を受信したんでしょ?」
「どうせなら予言と言ってもらいたいもんだねぇ」
顔を顰めて抗議しても、彼女はきゃらきゃら笑うだけ。ついでに背中を撫でてくる。……自分は怪我をして愚図る子供か。こういう扱いをされるのは、結構嫌いじゃない。
「それに天気予報では雨だと言ってたよぉ」
「予報は所詮予報でしょ」
「じゃあ、何で美空ちゃんは明日は晴れだと思うんだい?」
「チョー直感!」
自信満々な彼女に問いかけてみれば、そんな能天気すぎる回答が飛び出してくる。真剣に答えた彼女もアホだが、バカ正直に聞いた自分は更なる大バカに値するだろう。呆れを通り越して疲労を感じ、とびきり深い溜め息を吐いてしまう。
「晴れやんかったら天気の神さん恨むで。明日は皆で遊ぶのに」
――仮に雨が降ったとしても、遊ぶ事は出来るだろうに。彼女の、台風も裸足で逃げ出しそうな、晴れやかな笑顔が台無しにならない為に。明日天気になあれと柄にもなく祈った、その翌日。彼女の言う通り、昨日の悪天候はどこへやら。雲一つ見当たらない、晴れ渡る青空! 笑うしかなかった。
別に占いの結果や予知夢でもなく、今までの経験からでもない。ただ天気予報を見ていたからの発言だった。今回は当たり目らしい。その証拠に先程からどうも空模様が怪しい。そして風も湿り気を帯びている。だから自分の確信は正しい。それでも彼女は首を横に振る。
「ちゃいますよ、晴れます」
「……美空ちゃんはアタシの言う事が信じられないのかい?」
「それかてどーせどこぞから電波を受信したんでしょ?」
「どうせなら予言と言ってもらいたいもんだねぇ」
顔を顰めて抗議しても、彼女はきゃらきゃら笑うだけ。ついでに背中を撫でてくる。……自分は怪我をして愚図る子供か。こういう扱いをされるのは、結構嫌いじゃない。
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――仮に雨が降ったとしても、遊ぶ事は出来るだろうに。彼女の、台風も裸足で逃げ出しそうな、晴れやかな笑顔が台無しにならない為に。明日天気になあれと柄にもなく祈った、その翌日。彼女の言う通り、昨日の悪天候はどこへやら。雲一つ見当たらない、晴れ渡る青空! 笑うしかなかった。
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