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鷹の箱庭
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見事に刈り込まれた緑のアーチであった。それを恐る恐るくぐると今度は、目の前にとんでもない密度の緑が飛び込んでくるのだ。
こんもりと茂るのはサンザシや紫丁香花。立派に聳える楓の木の隣には夾竹桃、柊、コナラと続く豊かな木立。蓮が浮かぶ小さな池。その周りには美しい花があちらこちらに植えられていた。もうすぐ大飛燕草が満開を迎えようとしている。黒猫の先輩はそんな花畑の中、今はシクラメンとサクラソウが咲き誇るその中にしゃがみこんで、雑草を摘みとっている。
「失礼します」
控え目に挨拶をすると、庭の主は普段あまり見る事の出来ない自然な笑みを浮かべ、汚れた軍手を外して会釈した。ふんわりと草の匂いがした。母から分けてもらった植物の鉢を掲げる。
「あの、お土産です。麝香草と、カミツレです」
「ありがとう。ちょうどロックガーデン風に植えかえるところがあったんだ」
「……そのお庭が完成したら、是非拝見したいですね」
「もちろん、君に一番に見てもらおうと思っているよ」
黒猫が言うと、世鷹は嬉しそうに笑う。
「じゃあ、あちらのテラスでお茶でも飲もうか。大丈夫、カフェオレも用意してあるよ」
そう言ってテラスを見やる笑顔には、無意識に汗を手で拭ったのか、泥の汚れが一文字についている。黒猫はハンカチをポケットに入れていなかったのを後悔した。
こんもりと茂るのはサンザシや紫丁香花。立派に聳える楓の木の隣には夾竹桃、柊、コナラと続く豊かな木立。蓮が浮かぶ小さな池。その周りには美しい花があちらこちらに植えられていた。もうすぐ大飛燕草が満開を迎えようとしている。黒猫の先輩はそんな花畑の中、今はシクラメンとサクラソウが咲き誇るその中にしゃがみこんで、雑草を摘みとっている。
「失礼します」
控え目に挨拶をすると、庭の主は普段あまり見る事の出来ない自然な笑みを浮かべ、汚れた軍手を外して会釈した。ふんわりと草の匂いがした。母から分けてもらった植物の鉢を掲げる。
「あの、お土産です。麝香草と、カミツレです」
「ありがとう。ちょうどロックガーデン風に植えかえるところがあったんだ」
「……そのお庭が完成したら、是非拝見したいですね」
「もちろん、君に一番に見てもらおうと思っているよ」
黒猫が言うと、世鷹は嬉しそうに笑う。
「じゃあ、あちらのテラスでお茶でも飲もうか。大丈夫、カフェオレも用意してあるよ」
そう言ってテラスを見やる笑顔には、無意識に汗を手で拭ったのか、泥の汚れが一文字についている。黒猫はハンカチをポケットに入れていなかったのを後悔した。
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