異星夫婦の閨房

初夜

　嫁入りするから荷作りしたいと言えば、あっさり実家に連れていってくれた。数年ぶりに再会した家族を全壊したシェルターから運び出して屋根が吹き飛んだリビングに寝かせる。想像より傷んでおらず、最近まで生きていたんだと実感する。

「大丈夫、僕が居るよ」

　屈託なく微笑みかけてくる地球外生命体に、きっと自分は死ぬよりエライ事になったんだろうなと思った。自分が寿命で死ぬか本人が夫婦ごっこに飽きるかしないと、絶対放してもらえない。地球人らしい外見に変化した夫（自称）が愉しそうに「家族なら今から作ればいい」とソファにカーテンを敷いた即席ベッドで押し倒してきた。

「僕と君の門出を、皆に見せてあげよう」

　そのまま夜になるまで、家族の遺体がある部屋で体位を変えて何度も抱かれて絶頂させられた。何だか訳の解らない液体塗れになり、膝の上に乗せられて、家族の遺体が見える位置で、足を開かされて揺さ振られながら、もう自分にとっての家族は地球外生命体と生まれてくるかもしれない子供だけになるのだろうと理解した。