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エレベーター
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このマンションのエレベーターについてる手の痕、皆好き勝手曰くについて喋ってるけど、アレが手を振ったらどうなるかって知らないのねぇ。
救急車、パトカー、消防車の三部合唱が響いた。
「こんばんわ」
エレベーターのボタンを押してすぐ、声をかけられた。振り向くと十歳前後の、可愛らしい少女がニコニコ笑っている。
「こ、こんばんわ……」
すぐ前を向いて、反射的にエレベーターに飛込む。少女は乗ってこなかった。
――知らない人に話しかけられても応えちゃいけません。
なんて、小さい頃はよく言われた言葉の怖さを、今思い知る。扉が完全に閉まってから気づいた。隣に、自分の胸元くらいの高さの人影に。
マンションのエレベーターが突然停まった。慌てて非常ボタンを押して外に連絡を取ると「まだ成仏してない」と落胆された。
魔が差して、小型カメラをエレベーター付近の鉢植に仕掛けてみた。すると毎日深夜に、特別親しくもないが険悪でもない同階の住人達が、エレベーター付近でケンケンパしている事を知った。カメラがある方向に視線を固定しながら。
救急車、パトカー、消防車の三部合唱が響いた。
「こんばんわ」
エレベーターのボタンを押してすぐ、声をかけられた。振り向くと十歳前後の、可愛らしい少女がニコニコ笑っている。
「こ、こんばんわ……」
すぐ前を向いて、反射的にエレベーターに飛込む。少女は乗ってこなかった。
――知らない人に話しかけられても応えちゃいけません。
なんて、小さい頃はよく言われた言葉の怖さを、今思い知る。扉が完全に閉まってから気づいた。隣に、自分の胸元くらいの高さの人影に。
マンションのエレベーターが突然停まった。慌てて非常ボタンを押して外に連絡を取ると「まだ成仏してない」と落胆された。
魔が差して、小型カメラをエレベーター付近の鉢植に仕掛けてみた。すると毎日深夜に、特別親しくもないが険悪でもない同階の住人達が、エレベーター付近でケンケンパしている事を知った。カメラがある方向に視線を固定しながら。
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