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曇天
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あの場所に建った建造物は半年も経たず崩壊する。立地が悪いのだ、そういう事にしている。曇天になった際、大きな手が伸びてきて草でも毟るが如く壊していくなんて、馬鹿正直に国へ報告など出来るか。
一切の未練なくこの世を去る人間は珍しい方だろう。だから彼らは割り切れるまで雲の回廊を歩いていくのだ。
「飛行機雲だ」
「何か縫合痕みたいだな」
「よしてくれよ」
そう笑った時、ぴちょんと頭に何かがかかった。天気雨かと顔を上げると、空と雲の間から、赤いものが滲み出ていた。
分厚い雲の隙間から眩い光が……「隠れろ! 見つかるぞ!」
一切の未練なくこの世を去る人間は珍しい方だろう。だから彼らは割り切れるまで雲の回廊を歩いていくのだ。
「飛行機雲だ」
「何か縫合痕みたいだな」
「よしてくれよ」
そう笑った時、ぴちょんと頭に何かがかかった。天気雨かと顔を上げると、空と雲の間から、赤いものが滲み出ていた。
分厚い雲の隙間から眩い光が……「隠れろ! 見つかるぞ!」
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