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お題:夏を使わない夏
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まだ八月になって七日も経っていない、雲一つない快晴の日、鮮やかな紅の尾びれをもつ美しい金魚を手に入れた。わざわざ他県の母の実家まで足を運び、蔵に押し込められていた朝顔のような形の金魚鉢を発掘して金魚の住処にする。縁には橙と緑が塗られ、古めかしいフォルムはどちらかといえば日本家屋である祖父母の家にあった方が相応しく思えたが、光を弾く柔らかな硝子の球面と、水槽と藻に囲まれた小さな水の世界に住まう金魚―。その幻想的な子供の頃の思い出が忘れられなかったせいか、とにかくその鉢に住まわせる事しか思いつかなかった。
かんかん照りつける外の太陽はあくまでも高く、激しく。遠くに見える入道雲が、これから来る雨を恋しく思わせる。いや、正確には、雨が運んでくる、涼しさをか。
花火大会は好きだ。人はそれに群がり打ち上げられる音で悲鳴はかきけされるから。
窓からは蝉の声、暖簾の奥からは氷を削る音が聞こえてくる。
見上げる星空は天の川までくっきり見える。朝から日が暮れるまで鳴き続ける蝉の声も、鼻先に立ち上る、蚊取り線香の匂いも最初は辟易したけど、合宿の最後の夜を迎える頃には慣れた。
かんかん照りつける外の太陽はあくまでも高く、激しく。遠くに見える入道雲が、これから来る雨を恋しく思わせる。いや、正確には、雨が運んでくる、涼しさをか。
花火大会は好きだ。人はそれに群がり打ち上げられる音で悲鳴はかきけされるから。
窓からは蝉の声、暖簾の奥からは氷を削る音が聞こえてくる。
見上げる星空は天の川までくっきり見える。朝から日が暮れるまで鳴き続ける蝉の声も、鼻先に立ち上る、蚊取り線香の匂いも最初は辟易したけど、合宿の最後の夜を迎える頃には慣れた。
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