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家族
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「お母さんまだ帰ってこないね」
「最近ずっとタチバナさんとこにいるよね」
俺は一人暮らしだ。
清水さんを清水さんの奥さんが殺してなんてありえないよ。清水さんの奥さんはとっくの昔に俺の奥さんになってるんだから。
「自粛させるために庭にテントを張ったらうちの子、半日その中で過ごすようになったわ」
電話越しのママ友は嬉しそうだった。洗濯を干していた長女が話しかけてくる。
「白露さんちって三人兄弟だったの? お姉ちゃんお兄ちゃんがいていいなぁ」
隣は三人家族だったはずだ。
三連休前に出した宿題は『家族の似顔絵』。子供ながら凝り性な冬野君が提出した画用紙いっぱいに描いたので「お母さん」と書かれたシールが貼られている。……彼の家族ってお父さんとお祖母さんじゃなかったかしら。
事故で天涯孤独となった不知火が引っ越した。確かに一度を地元を離れた方がよかろうと友人達は安堵する。彼と一番仲の良い友人が家に招かれた。
「孤独を感じない物件を見つけたんだ」
十数年前に死んだ家族が今でも当時の生活を続けているという。
「お前やめとけよ……」
「いいんだよ、朝と昼はまるで俺の家族と一緒なんだ」
日が暮れると一家心中し、日が昇れば一家団欒を繰り返す一軒家に腰を落ち着けて、もう一年が経つ。
「冬野の身内って確かお袋さんだけだったよな」
「何を今更。その上母ちゃんも亡くなってあいつあんな参ってんだろ」
なら、あのサイズが全部違う何足もの靴は誰のなんだ。
「最近ずっとタチバナさんとこにいるよね」
俺は一人暮らしだ。
清水さんを清水さんの奥さんが殺してなんてありえないよ。清水さんの奥さんはとっくの昔に俺の奥さんになってるんだから。
「自粛させるために庭にテントを張ったらうちの子、半日その中で過ごすようになったわ」
電話越しのママ友は嬉しそうだった。洗濯を干していた長女が話しかけてくる。
「白露さんちって三人兄弟だったの? お姉ちゃんお兄ちゃんがいていいなぁ」
隣は三人家族だったはずだ。
三連休前に出した宿題は『家族の似顔絵』。子供ながら凝り性な冬野君が提出した画用紙いっぱいに描いたので「お母さん」と書かれたシールが貼られている。……彼の家族ってお父さんとお祖母さんじゃなかったかしら。
事故で天涯孤独となった不知火が引っ越した。確かに一度を地元を離れた方がよかろうと友人達は安堵する。彼と一番仲の良い友人が家に招かれた。
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「お前やめとけよ……」
「いいんだよ、朝と昼はまるで俺の家族と一緒なんだ」
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