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誘い
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「飲まないか」という誘いに、当時大学生だった月見秋蚕は二つ返事で返した。競馬で大穴をあてたと自慢する彼の段ボール製の自宅の前には、一升瓶がたくさん並んでいる。お互いの愚痴を肴に一本あっという間に飲み干し、二本目を開けようとした時。聞き覚えのあるヘンテコな日本語が聞こえたと同時に、秋蚕は意識を喪った。
次に目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。診断の結果、秋蚕の胃には泥水がたっぷり詰まっていた。
アルバイトで勉強を教えている留学生は半泣きで証言した。
「ツキミさんが泥人形と泥水をがぶ飲みしてたから、気絶させて連れてきた」
秋蚕が当時いた場所にはかつて彼と似たようなホームレスが住んでいたらしい。台風で氾濫した川に流されて今でも行方不明だと、後で知った。
次に目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。診断の結果、秋蚕の胃には泥水がたっぷり詰まっていた。
アルバイトで勉強を教えている留学生は半泣きで証言した。
「ツキミさんが泥人形と泥水をがぶ飲みしてたから、気絶させて連れてきた」
秋蚕が当時いた場所にはかつて彼と似たようなホームレスが住んでいたらしい。台風で氾濫した川に流されて今でも行方不明だと、後で知った。
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