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フェロモン/葵と暁
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玄関に入るなり、背中に鼻を押し付けて匂いを嗅いでくる。確かにまあ今日は意外と暑かったし、外での仕事が多くて汗も掻いたけど。
「そんなにフェロモン出てる?」
――出てるワケないでしょ。汗臭い、早く脱いで風呂に入りなさい。まるで母親じみた普段の単語を、葵はどれも使わなかった。
「うん、出てる。シたくなった」
「そう、君からも出てるよ」
「珍しく鼻が利いてるじゃないの」
シャワーを浴びる事なく、見えないナニカに引っ張られるようにして布団の上に転がった。
甘い口説き文句も、下らない駆け引きも必要なかった。セックスする為に必要なのは、たった一つ衝動だった。ヒカルと葵の波がぴったり重なって『今』と目を見てそう思ったのだ。初々しい恋愛初心者ではない二人はもう「愛してる」「好きだ」を言い合うような関係でもなかった。
ただ、普段は凪いだ海面のように単調な葵は噴火する活火山のようにヒカルに迫り、汗ばんだ雌の腰骨を両手で掴んで激しくゆすぶった。ヒカルの方は、普段のボンヤリとした顔から考えられない程、初めは照れ、恥じては身もだえし、耐え忍ぶように攻められるがままだった。しかしある点でタガが外れると、半開きになった唇から唾液の糸を垂らす程、はしたなく求め出すのだ。
「そんなにフェロモン出てる?」
――出てるワケないでしょ。汗臭い、早く脱いで風呂に入りなさい。まるで母親じみた普段の単語を、葵はどれも使わなかった。
「うん、出てる。シたくなった」
「そう、君からも出てるよ」
「珍しく鼻が利いてるじゃないの」
シャワーを浴びる事なく、見えないナニカに引っ張られるようにして布団の上に転がった。
甘い口説き文句も、下らない駆け引きも必要なかった。セックスする為に必要なのは、たった一つ衝動だった。ヒカルと葵の波がぴったり重なって『今』と目を見てそう思ったのだ。初々しい恋愛初心者ではない二人はもう「愛してる」「好きだ」を言い合うような関係でもなかった。
ただ、普段は凪いだ海面のように単調な葵は噴火する活火山のようにヒカルに迫り、汗ばんだ雌の腰骨を両手で掴んで激しくゆすぶった。ヒカルの方は、普段のボンヤリとした顔から考えられない程、初めは照れ、恥じては身もだえし、耐え忍ぶように攻められるがままだった。しかしある点でタガが外れると、半開きになった唇から唾液の糸を垂らす程、はしたなく求め出すのだ。
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