情愛ボトルキープ(1/5更新)

狂言巡

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ラブホテル

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「もう流石に何となく解ってるでしょ。ここは普通に泊まるだけの場所じゃなくて、セックスするのが第一目標として宿泊する場所だって事」
「セッ……!」

 ごくりと息を呑み、ヒカルはより一層真っ赤になった。これ以上赤くなれる事があるのかと驚く程、顔全体を火照らせていた。葵はヘッドボードのコンドームを一枚取って、けばけばしい見た目のコンドームを取り出す。

「さァ、アタシ達も目標を達成しようじゃないの」

 葵は既に切り替えが十分できているが、ヒカルは急にこのホテルの内装が恥ずかしくなってきたのか、そわそわと落ち着かない。

「ほらおいで、パンツの紐外してあげるから」
「じ、自分でやる! いっつも変なとこ触るから……ッ」
「ふーん、殊勝な事ね。流石にヤり慣れた?」
「やめてそういうの!」

 葵は自分の冷たい美貌と、あけっぴろげな下ネタがどのような化学反応を起こすか充分把握した上で、敢えてこういう言い方をする。ずけずけと低俗な言い回しは、葵との行為をいよいよいやらしく思わせて、ヒカルは未だに慣れないでいる。ヤり慣れる、なんて。そんなはずはない! 一生かけたって、こういった事に慣れる日は来ないだろう。いつだって余裕綽々なのが、ヒカルの気を逸らせる。

「……わ、私が、やる……!」

 ヒカルは恋人の手から蛍光ピンクのコンドームをもぎ取って、ベッドに腰掛ける葵の足下にしゃがみこんだ。大きく開いた口の中に、葵の雄をいっぱいに頬張った。
 ごりゅ、もご……。
 頬の肉の内側を押し上げて、喉奥まで飲みこんだ。勢いつけて咥えすぎて「ウッ、」と涙目になってしまった。葵はそのヘタクソながら情熱的なフェラチオを受けて、股座またぐらの間の女の頭を、優しい手つきで撫で始める。

「無理しないの」

 してないと口の中で答えたが、言葉にならなかった。
 ごっ、ごっ、ずるっ……。
 喉奥が音を立て、口内で扱くように動かした。舌の上に、ぷっくり張り出した血管の感触が伝わってきた。雄の匂いがする。きゅんと体に快感が伝わった。

「ヒカル、もういいわよ。顎が外れるまでやらせる事になるわ」

 葵の絶頂の遅さを考えると、確かに恋人を口だけでイかせるには技術も顎の力も足りないだろう。葵の手が膨らんだヒカルの頬を指で触って、頬袋いっぱいに肉竿を頬張っているのを楽しそうに見つめている。

「口をあけなさい」

 ずる、ぬるり……。
 ペニスを引き抜いて、唾液とカウパーが交じった。口の中を開けさせて、葵の指がヒカルの舌の上を何度も塗りこむように滑る。

「つけてくれるんでしょ?」

 挑発されて、ヒカルはコンドームを恐る恐る広げた。ローションがぬめってやりにくい。丸い輪を広げて、葵のカリ首の先から、ゆっくり薄い膜で覆っていく。こんなに近くで他人様の性器をまじまじ見る事など滅多にないので、意識すると叫び出したくなりそうだった。

「生尺もよかったけど、アンタにゴムをつけさせるのも悪くないわね」
「……ッ、こんな事くらい……」
「すれたフリをするのはやめときな。アタシはアンタの強がりを見るともっと揶揄いたくなる」

 グッと葵の言葉に言葉を飲みこんで、ヒカルはぎりりと歯噛みした。普段はツンと澄ました男のクセに、生き生きしているのがまた腹立たしい。根元までコンドームが被さると、葵はぺちぺちとヒカルの頬を、ゆるやかにカーヴした竿で叩いた。

「あう……」
「そろそろベッドに上がって来なさい。二人で寝るにも広いくらいだし、存分に使おうじゃないの」
「……ッ!」

 むぐぐとヒカルは口ごもり、何も言えないでいる。ベッドに上がると途中で腕をひかれ、倒れ込んだ。膝立ちになった葵の男根が蛍光ピンクになっている。信じ難い。

「で、電気、消して……!」
「消したらもっと面白い事なるわよ。蓄光コンドームだもの、暗い場所で光る」
「……ッ!」

 言葉を失ったヒカルの腕をやすやす捕えた後、葵の手がヒカルの足を大きく開かせた。期待でヒクつく穴の入口に、カリを当てると早くも甘い声が鼻から抜けた。

「あ……っ」

 セックスに慣れた。だなんて。とんでもない。いつまで経っても慣れるはずがない。けれど、何度も体を重ねた所為で、葵が何で興奮し、自分がどういう場所で気持ちよくなるのか、ヒカルはもう知ってしまっている。

「ヒカル、今何を考えてんの?」

 葵が長い髪を垂らして、意地悪な声を出した。決まっている。目の前で屹立している肉竿が、もう入口をこすっていて、もうすぐ入りそう……! と考えているのだ。けれど、ヒカルは強がった。それが葵を煽るのだと、先ほど言われたばかりなのに、意地を張った。

「……ら、ラーメン食べたいって、思ってる……!」

 葵はククッと肩を震わせた。唇が持ち上げるだけで、何を言ってもノーダメージの男ではあるけれど、ヒカルの前では意外とよく笑った。

「……終わったら好きなだけ食べなさいよ」

 終わる頃には腹が減っていた事も忘れるだろうと判っていたが、言い返さなかった。
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