カゾクカイダン(11/17更新)

狂言巡

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 甥っ子は甘えたでくっつき虫なのだが。

「パパにおんぶしてもらわなくていいの?」
「パパいつもおんなのこおんぶしてるからじゅんばんまってるの」





 蜘蛛屋敷には近づいてはいけないよと、わざわざ注意してやったのに。甘やかしてばかりの伯母の愛息子は、件の屋敷の前で頭髪を根こそぎ奪われて倒れていた。廃屋のバルコニーには、けばけばしい毛先が紫色の金髪の巣が出来ている。





 丈夫に育てたいと言って子供に常に裸足を押し通した。葬式でようやく靴を履けた甥は嬉しいのだろう。時々ベランダに現れて赤い靴を自慢してくる。姉は洗濯が干せないし近隣住民が妙に素っ気ないと嘆いているが、子供が元気なのは素晴らしい事じゃないか。
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