三色の日常(3/18更新)

狂言巡

文字の大きさ
上 下
17 / 19

長男の恋心【子世代】

しおりを挟む
 木槿にとって蓮美は、愛しくて愛しくて愛しくて、閉じ込めたい程に愛しい人。真っ直ぐで強かなのに、どこかぽっかり抜けていて、子供のように純粋な面もある。徹底的な努力家で、どこかとても脆い人。甘やかしてあげたい。何でも手伝ってあげたい。一度目を奪われてしまえば、他のものなんて目に入らない程に惹き付けられて、一度関わってしまえばその不器用なまでの素直じゃない性格が愛しくて、支えたいと思った。正攻法でいけないのなら、根回しをして外堀中堀を埋めるしかない。
 木槿はヘタレであれど、未来を確信している。「もし」なんて言葉には意味がないのだと、蓮美が教えてくれたからだ。そうして木槿はまだまだ愛しい人の世話を焼く。愛しているからこそ、もっともっと、手間をかけて蓮美を愛するのだ。それは二十四時間更新の計画で、ずっと更新され続けていく壮大な愛の計画なのだ。その暁には、今よりもっともっとドロドロに甘やかして、自分なしでは生きていけないようにしてやりたいのだ。
 ずっと手に入れたかった、初めて会った時から、ずっと。もう見ているだけで指を咥える事をしなくてもいい。でもだからと言って、こうして知り合って言葉を交わすだけじゃ物足りない。仲の良い先輩後輩なんてポジションなんかじゃなくて、確固としたものが欲しい。彼女の隣で、胸を張っていられる場所が――。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【5分で読める!】短編集

こよみ
キャラ文芸
タイトル通り、各話だいたい5分以内で読める1話完結の短編集。 世界線は繋がっていたりいなかったり、基本的に「日常」の切り抜きです。 ■手元にある分を投稿した後は不定期更新になります ※こちらの作品は他サイトでも投稿しています

人形の中の人の憂鬱

ジャン・幸田
キャラ文芸
 等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。 【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。 【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?

あやかし学園

盛平
キャラ文芸
十三歳になった亜子は親元を離れ、学園に通う事になった。その学園はあやかしと人間の子供が通うあやかし学園だった。亜子は天狗の父親と人間の母親との間に生まれた半妖だ。亜子の通うあやかし学園は、亜子と同じ半妖の子供たちがいた。猫またの半妖の美少女に人魚の半妖の美少女、狼になる獣人と、個性的なクラスメートばかり。学園に襲い来る陰陽師と戦ったりと、毎日忙しい。亜子は無事学園生活を送る事ができるだろうか。

渚のデリカッセン(5/26更新)

狂言巡
大衆娯楽
『後輩』してない紀州弁女子・淡島ちゃんのゴハン事情。 基本ほのぼのです。

三色の食卓(1/2更新)

狂言巡
キャラ文芸
男性一人、女性二人の円満な恋愛短編集、目指せ飯テロ編です。

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

【ショートショート】おやすみ

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。 声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

華鬘草

🌸幽夜屍姫🌸
キャラ文芸
9年に一度、天界から女神が地上へ降りてくる。 その女神は、優しい世界にするために願う。 その女神の願いは―――必ず叶う。 そんな言い伝えが伝わる星、金星。 ある日、街の近くにある森へ探検に出かけた少年、ウリア。 少年はその森で、大きな袋を引きずりながら歩いている白い少女に出会う。 ウリアがその不思議な少女と他愛無い話をしていると、 森に棲んでいた狼が木陰から飛び出し、ウリアを喰い殺してしまう。 白い少女は、目の前に転がる静かな心臓を手に、願った。 ―――どうか、誰も大切な人を失うことがありませんように―――。 少女には知る由もなかった。 その優しい願いによって、世界が壊れてしまうことを―――。

処理中です...