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仕事
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アルバイトで庭の木を剪定していたら、「ぎゃあああ!」という野太い男の絶叫がした事がある。下で切った枝や葉っぱを片付けていた後輩も吃驚してこちらを凝視していたから、絶対に聞き間違えじゃない。庭の周りには自分と後輩しかいなかったという。
アルバイト先の床には全て、ガムテープが貼ってある。
「先輩なんすかこれ?」
「見えないお客様がいらっしゃるからな。剥がれかけてたら貼り直してくれ」
「……点字ブロック的な?」
「向こうが見えないんじゃなくて、こっちが見えないんだよ」
後輩が求人雑誌を読んでいたので、こっそり覗き込む。ページにはでかでかと心霊写真にしかみえない廃屋が映っており、業務内容は『こちらのお宅に訪問して一時間滞在するだけの簡単なお仕事です!』と明るいフォントで書かれていた。
少し遠いが、通勤手当が多めに貰えるアルバイトを紹介してもらった。乗車前、指導担当の先輩から耳栓を渡される。
何でもこの通勤ルートは『出る』のだとか。
「聞いたら死ぬ、とかすっか?」
「違うよ」
セイレーンみたいなもんかなぁ。獲物が一番聞きたい声を真似してくるんだ。
「深夜まで書類を片付けていた時、退勤しようとしたらいつまでも一階に着かない。痺れを切らした上司が階段の壁を殴ったら、穴の向こうに一階があったよ」……っていう話を先輩から飲み会で聞いたんだけど、誰も幻覚だと否定しなかったのも含めてホラーだと思わないか?」
アルバイト先の床には全て、ガムテープが貼ってある。
「先輩なんすかこれ?」
「見えないお客様がいらっしゃるからな。剥がれかけてたら貼り直してくれ」
「……点字ブロック的な?」
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