後輩の不可解な話(9/29更新)

狂言巡

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「おはようございます」
「いってらっしゃい」
「おかえりなさい」

 落ちてきた看板の下敷きになった後輩の声が、靴箱から聞こえるようになった。家族が吃驚するからやめてほしい。





 先輩と居ると名前を呼ばれるんです。俺達とも先輩とも全然違う名前ですよ。先輩、名前呼びじゃ返事しないんです。フルネームもダメ。自分の名前が嫌いだから無視シカトしてるとかじゃなくて、自分の名前って認識できないみたいで。名前は昔事故で亡くなった従弟だそうで、本人は枕元には出ないけど叔母夫婦(存命)は毎晩出て来て従弟の名前で呼び続けるんで、その所為かもって苦笑してます。





「先輩泳いできますねぇ」

 本当に聞こえた。川遊びを禁ずる理由はコレだ。

「先輩! 助けて!」

 悲痛な声に応えた者は生きては帰れない。そそくさと立ち去ろうとすると、濡れた何かが足を掴んだ。

「きこえてるくせに」
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