後輩の不可解な話(9/29更新)

冷蔵庫

　　あ、先輩すみません。珍しくお酒買ってたんですね。形見分けって言うんですか、新しかったので譲ってもらったんです。亡くなった伯母の家に会った冷蔵庫。酒を入れて閉めると血が滲み出してくるんです。開けると血は消えます。死因に関係してるのかもしれませんね。殆ど腐って、人間らしい痕跡が骨くらいしか見つからなかったらしいですけど。





　冷蔵庫を開けると、女の生首と目が合った。ギャアと叫ぶと、居間から吹き出す声。何だまたか。先輩が仕掛けるドッキリは冗談抜きで心臓に悪い。

「先輩あんまりすぎます！」
「ごめんごめん、あれの中身プリンだから食べていいよ。バイトの先輩が引っ越しで荷物減らしたいからって貰ったんだよ、リアルすぎるイグアナのタッパー」





　先輩の家で宅飲みした。一軒家に一人暮らしで親は故人、兄弟は他県で在住だそうだ。それはともかく、キッチンに冷蔵庫が二つあって、一つは電源さえ入ってない。狭くなるのに捨てないんですかって聞いたら「お祖母ちゃんが寝てる事あるからね」と返ってきた。先輩は飲み会の雰囲気が好きな下戸で、その時も素面だった。