後輩の不可解な話(9/29更新)

祭り

　チームメイトと夏祭りに行った時、一回百円、五百円払えば七回引ける籤引きの店を見つけた。挑戦したが、全部外れだった。そのガッカリ具合が顔に出ていたのか、店主が林檎飴をくれた。

「せんぱーい！」

　一つなので食べてしまおうかと思っていると後輩に声を掛けられた。案の定、彼女の目が林檎飴に集中する。差し出した飴は近くの池に投げ捨てられた。どろりと水面が赤黒く変色し、禍々しく粟立つ。呆然としていると、後輩は肩を竦めて言った。

「先輩、タダより怖いものはないっていつも言ってるじゃないですか」

　後日チームメイト達に確認すると、籤引きの店など出店していなかったという。