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小休憩/ガンマンと元聖女
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男の膝でよくここまで熟睡できるものだと感心する。どう見たって、高さが合っていないから、後で首が痛いと後悔する事は必至だろうけれど。木漏れ日の差し込む森の中で、此処は比較的安全圏だという確信があった。何かがあっても対処できるだけの経験値は積んでいる。膝で寝こけている女をどうするかは、状況次第になるけれど。
「せめて足は引っ張ってくれるなよ……」
懇願するように梳いた髪は、この世界では珍しい黒髪。覗き込む事で謀らずとも帽子や庇の代わりになると思うと、まじまじと観察してしまう。造形は間違いなく妙齢なのに、何故か湧き上がってくる庇護欲の類を、実は知っていた。寝返りを打つ際に鳴った喉からは、意外にも猫のような音が出て思わず吹き出してしまう。それと同時に、クロエがゆっくりと目を開けた。夜の海面のような瞳に、自分が映る。
「……オハヨ」
「おはよう。よかったな、モンスターに遭遇しなくて」
「縁起でもない事言わないで……もしそうなったら助けてね」
「人肉の味を覚えたら面倒だから食わせたりはしないが、助けるかどうかはこれからのアンタ次第だな。行くぞ」
荷物を持ち直して再び立ち上がる。軽口を叩き合いながら進む先に、幸運が少しでも含まれていればいいと願って。
「せめて足は引っ張ってくれるなよ……」
懇願するように梳いた髪は、この世界では珍しい黒髪。覗き込む事で謀らずとも帽子や庇の代わりになると思うと、まじまじと観察してしまう。造形は間違いなく妙齢なのに、何故か湧き上がってくる庇護欲の類を、実は知っていた。寝返りを打つ際に鳴った喉からは、意外にも猫のような音が出て思わず吹き出してしまう。それと同時に、クロエがゆっくりと目を開けた。夜の海面のような瞳に、自分が映る。
「……オハヨ」
「おはよう。よかったな、モンスターに遭遇しなくて」
「縁起でもない事言わないで……もしそうなったら助けてね」
「人肉の味を覚えたら面倒だから食わせたりはしないが、助けるかどうかはこれからのアンタ次第だな。行くぞ」
荷物を持ち直して再び立ち上がる。軽口を叩き合いながら進む先に、幸運が少しでも含まれていればいいと願って。
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