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第233話 試練突破の方法
しおりを挟む「……消えた」
4体のナグロナイトと接戦を繰り広げていた時、俺の周りにいた魔王の身体が霧のように消えていった。
奴の分身体が消えたってことは……アレスたちがやったってことか。
ただ……俺は自分の身体を見てみる。
「……やっぱりか」
予想通りの結果で俺は少しだけ顔を顰める。
「とにかくラーナたちのところに行こう」
最後に奴が散っていく姿を見てから、俺は再び魔王城へと向かうのであった。
◇
「……やった、のか?」
アレスの声が静寂な空間を打ち消した。それに呼応するようにナーシャは喜びながら、今も眠っているソフィアに抱きつく。
「凄い!凄いよソフィアちゃん!魔王倒しちゃったよ!私たち、世界救ったんだよ!」
子供のようにはしゃぐナーシャの姿を見て、ローズも安心するように笑みを浮かべ、アレスもまた、力尽きたように尻もちをついた。
「ラーナ。お疲れ様です。今回復しますね」
「えぇ。少しお願いするわ……うっ」
傷の損傷が激しいことや、疲労が溜まったのかラーナは体勢を崩して、ルシアはそんなに彼女を回復魔法をかける。
「これであの方が言う試練というのは突破したということでよろしいのでしょうか?」
「……どうかしらね」
もし魔王を倒したという実績が試練を突破する条件であれば何かしらの変化があるはずなのに、今はそんな変化など見当たらない。
「とにかくアクセルを待ちましょう。それにしても……これは凄いわね」
ラーナが禍々しい魔王城から銀色の世界と化した景色を見て、言葉を発する。
「えぇ。やはりソフィア様も秘めたる力を持っていたということでしょうね」
「マリアさんとアクセルの妹よ?これくらいやって貰わなきゃ困るわ」
「マリアさんのことも高く評価してるのですね?」
「………貴方、私を頑固じじいと思ってるわけ?」
「いえ、少し意外だったもので。ふふっ」
ルシアが自分を見て微笑んでるのを見て、どこか疲れたようなため息を吐くが、ラーナも自然と笑みを浮かべていた。
やはり、魔王を倒したという達成感に浸っていきたいのだろう。
「ッ!……ルシア」
「えぇ、誰か来たみたいですね」
二人が外から誰かの気配を感じ、それぞれいつでも戦闘できるように構える。
外にはまだ敵がいるかもしれない……そんな予想をしていたせいか、いつもよりも二人は警戒心を高めていたのだ。
そして、その人物が魔王城の中に入ってきた。アレスたちも気づいたのだろう。再び武器を構えて……その人物を見て、少しだけ警戒心を解いた。
◇
「……なんだこれは?」
魔王城にやって様子を見に行くと、そこには銀色の世界……雪景色か広がっていた。
「アクセル、無事だったのね」
そんな光景に呆気に取られていると、ラーナとルシアが声を掛けてきた。二人とも、いつも以上にボロボロであった。
「大丈夫か?」
「大丈夫……ではありませんね。流石に魔王を相手にするのはとても辛いです」
あはは……と苦笑するルシアを見る。ダメージは負ってないものの、いつもよりも魔力が少ない。相当無茶したってことか。
「悪いな。手助け出来なくて」
「気にしないで。あの4体を引き剥がしてくれただけで充分だわ。それに、あの子が魔王を倒したのよ。私たちはそれのサポートしただけ」
「ソフィアが?」
驚いた……まさかルシアの異能をソフィアに掛けたのか?原作だとアレスが……いや、少し野暮だな。
俺は彼女のそばまで近づく。彼女を抱きしめていたナーシャには怖がられたのは、仕方ないと割りつつ、眠っている彼女の頭を撫でる。
「……よく頑張ったねソフィア。流石、俺アクセルの妹だ」
……さて。俺は自分のやるべきことを果たすために、ソフィアの頭から手を離してから、今も俺のことを敵意を剥き出しにしているアレスに近づく。
「……礼は言わないぞ虚無。一体なんの用だ?」
「礼は言わなくていい。ただ頼みたいことがある」
「頼みたいこと?お前が僕に?ふざけるのも大概に……」
「俺を殺してくれ」
「……は?」
「アレス。頼む……俺を殺してくれ」
その言葉を聞いて、ラーナとルシア含む全員が俺を見て唖然としていた。
もし、原作通りにするのなら……方法はこれしかない。
そんなことを思いながら、俺は主人公と向き合った。
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