全て失う悲劇の悪役による未来改変

近藤玲司

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第181話 懐かしい人物たち

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数日経った朝、俺はマリアとソフィアに呼ばれて現在、王都の門の前にいる。
俺以外にもジークやローレンス、ユニーレもそこにはいており、皆不思議と笑顔になっている。

「……なんだ。この除け者にされた気持ちは」

そんな中、俺は分からずにただみんなの姿を眺めることしか出来なかった……。

「なんだお主、マリアから聞いておらんのか?」

「マリアから?……懐かしい人に会えるとかは言っていたが、それ以上教えてくれなくてな」

「……なるほど。じゃあ我からも言うわけにはいかんな。きっとあやつなりのサプライズなのであろう」

「えぇ……」

ローレンスの口からも何も情報が得られず、結局困惑するしかなかった……解せぬ。

そんな気持ちを抱いたまま、門の外で待って数時間が経過した時……奥から何か馬車のようなものが近づいてきているのが目に見えた。

「!来たみたいですよ!!」

ソフィアは歓喜を満ちた顔をしてその馬車の方をじっと見ている。
皆も顔を緩めており……やはり俺だけが訳が分からない状況であった。

一体誰だ……?そんな事を心の中で考えてみると、馬車が目の前まで近づいてきておりその扉から……懐かしい人物が出てきた。

「お母様!!」
「母様!!」

ソフィアとマリアはその人物が出てきた途端、瞬時に彼女に近づいてから抱きついていた。
その人物を見て俺は、空いた口が塞がらなかった。

「ソフィア、マリア……!久しぶりね。元気そうです何よりだわ」

そう、そこにいたのは……リアーヌ・アンドレ・レステンクール。
俺の……アクセルたちの母親だったのだから。

「……な、なんで母上がここに……?」

「リアーヌだけじゃないよ」

「ッ!」

聞き覚えのある爽やかな声……それに妙に背筋が凍るこの雰囲気は……。
そう思い、馬車から一人の男性が出てきた。

「久しぶりだねアクセル。相変わらず王都でも大暴れしているみたいで何よりだよ」

「……ち、父上」

父親とは思えない若さを兼ね備え、レステンクール領を発展させた人物であり俺の、アクセルの父でもあるマエル・アンドレ・レステンクールがそこにはいた。

「久しぶりだなマエルよ。まさかこんな早い再会になるなんて思わなかったぞ」

「私もマリアから聞いた時は驚いたわ。よく王都まで来れたわね」

「ご無沙汰しておりますローレンス様、ユニーレ様。領のことはアルマンに任せて、折角ですのでアクセルたちに会いに来たのですよ」

彼は二人と声を交わしてから、俺の隣にいる人物……ジークに目をやる。

「やぁジーク。きみもアクセルと同じで随分と注目されたようだね」

「……マエル様……お久しぶりでございます」

「うんうん。元気そうで何よりだよ。しっかりアクセルの騎士になっちゃったようだね。前よりも顔つきが良くなったんじゃない?」

「そ、そうでしょうか……?そう言って貰えると嬉しいです」

彼女も彼女でマエルとの再会はどうやら嬉しいようで、いつもよりも耳をピクピクと器用に動かしていた。

「それと、もう一人懐かしい人物を連れてきたよ。今では立派に務めを全うしているよ」

そう言いながら、マエルの隣に甲冑姿の男が隣で敬礼してくる。

「……お久しぶりでございます。こうしてまた貴方に会えること、とても嬉しく思います……団長」

「……れ、レイス?レイスなのか?」

れ、レイスだと?
ジークが驚愕してるのと同じく、俺もその人物……レイスの容姿に驚くしかなかった。


程よくついている筋肉はその甲冑でも抑えられないくらいムキムキになっており、この二年間で肉体がさらに磨き上げたのが分かる。

それに前よりも顔つきがキリッとしており、もはや主要人物に選ばれてもおかしくない容姿になっていた。

「あはは。二人も驚いてるようだね。私も久しぶりにレイス団長を見た時は目を疑ったよ」

「マエル様……あまり俺を揶揄わないでください」

飄々と笑ってくるのに対して、自身の変化に自覚があるのかジト目で訴えかけているレイス。

い、いや……まさかレイスがここまで容姿に変化があったとは……何があるか分からないな。

「どうだい?僕らのサプライズは?喜んでくれたかな?」

「……サプライズって……まさかマリアが隠してたのってこの事だったのか」

正直、嬉しい誤算ではあったが……出来れば言って欲しかった。流石におもてなしも何も用意出来てないぞ俺は。

「あはは。そんなもの、用意しなくたって大丈夫だよ。しばらくは一緒に行動するから」

「?どういうことですか?」

「あれ?聞いてないの?僕たちもバロスに行くことを」

「え……えぇ!?」

ち、父上達も行くのか!?

「……どうやら聞いてないみたいだね。まぁいいや。そんなことよりアクセルたちの家に連れてってくれないか?流石あれに座り続けていると腰がね」

リアーヌ行くよ!と彼女に近づきながらレイスとともに去っていく姿を見て俺は……驚愕で口が塞がらなかったとさ。

……出来れば教えて欲しかったよ……マリア。
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