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第156話 魔破犇
しおりを挟む「…… 久しいな、魔破犇」
ローレンスはそう呟くとともに、挨拶代わりに奴に一発魔法をお見舞いした。
ユニーレも異能で作ったであろう巨大な槍を奴にぶつける。
しかし……奴には擦り傷一つもつかなかった。
「チッ、前よりも耐久力が上がったのか?我の魔法でもそこまでか……」
「……ただの槍でも傷つかないのね……ほんとにめんどくさいわ」
はぁ…と気怠そうなため息をついている。その間も魔破犇ベヒーモスは咆哮をし続けている。
原作でバシリス教団よ奥の手としてアレス達の前に立ちはだかった魔獣、魔破犇。
その時は凄まじい耐久力のせいで倒しきれずに封印という手段で奴を撃退。
その無法な強さは読者から作中最強という声や混沌の魔女よりも強いのでは?という噂があったほどだ。
「「我(私)はあんなデカブツよりも強い」」
「……はいはいわかったよ」
心を呼んできたってくらい的確に反論してくる二人にところに思わず頭を抱えてしまう。
「……だが、倒すのに時間が掛かるし、魔法の規模が大きくなる。出来るだけ抑えようとしてるのなのだが……」
「これじゃあジリ貧ね。それに、見てみなさいよあれ」
ユニーレは今も咆哮している奴に……正確にはその周りに指を指している。
そこを見ると……奴の眷属なのだろうか、赤い瞳を宿した猪……数千のワイルドボアの軍勢が王都に迫ってきている。
「あんなのが迫ってきたら王都の被害は尋常にならないわよ。どっちにしたって時間が許さないわ」
「……どうするのだアクセル。流石に我らでも被害なしに倒すのは不可能だぞ?」
「……いや、可能だ」
俺はローレンスにそう返答するとともに、魔法を……創造の力を使う。
「想像の力」
すると、王都の周りの地面が隆起し続けて…‥やがて大量のゴーレムが守るように現れた。これで、王都の守備はなんとかなるはずだ。
「相変わらず化け物だなその力」
「ソフィアの武器もそれで作ったそうじゃない。どうなってんのよそれ」
これには魔女組もジト目で見つめてくるが、彼女たちにも渡すものがある。
「二人とも。これを」
収納ボックスからそれぞれある物……彼女たち専用の武器を渡す。
「………な、なんなのだこれは……杖?」
「……私は……本?いや、それにしては違和感が……」
「俺がそれぞれ二人専用に作ったものだ。結構癖はあるが、お前らなら使いこなせるはずだ」
「そ、それはいいがお主……一体いつの間に……」
「……へぇなるほどね。ふふっ、なんだか面白そうじゃない」
ローレンスはその杖から出る異様な雰囲気に冷や汗をかいており、ユニーレはその本を開いて……興味深そうに笑みを浮かべてた。
その間に、王都全体を空間結界を張る。
「いいか。あいつは凄まじい耐久力はあるが、それは何も考えないで攻撃した場合だ」
「……何かあるのか?」
「奴には核がある。それを破壊すれば奴は倒せる。おそらく数十個だと思われるがそれぞれ魔法を無効化する核と異能の力を無効化する特性がある」
「……なによそれ。聞いたことないわよ」
「だろうな。なにせ、誰も知らないからなこれは」
……小説の特典として書いてあった作者による魔破犇ベヒーモスの倒し方だ。本当かどうかは分からんが……こんな時に嘘はつかないはずだ。
「まずは奴の核を見つけるぞ。ただ少しずつ壊してもだめだ。全員で一斉に核の場所に向けて攻撃を放つんだ」
「………核というと……魔力の流れが濃い場所を探せばよいのだな?」
ローレンスは俺から魔破犇ベヒーモスへと視線を移し替える。そこには……俺を信じてるのか確かな意思が感じ取られた。
「じゃあ私は準備をしてくるわ。流石にこれを扱うのは時間がかかるわ……ローレンス、核を探すのは任せるわ」
「うむ。分かった……アクセル、我らはいつでもいけるぞ」
「貴方の言葉、信じるわ。だから……命令してちょうだい」
「……分かった」
……こいつらに向けて言えることはたったひとつだけだ。
「……思いっきり暴れろ。そして……奴を倒すぞ」
それだけ呟き、俺たちは魔破犇に向かって攻め出した。
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