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第151話 血筋
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キサマァアア!!それがどれほど罪深きことなのかわかってやってるのか!!」
法廷中にクリフトの声が響き渡る。その豹変ぶりに思わず全員が彼に注目する。
「別に、私は脚が滑っただけですよ。おっと……」
そう言ってまた絵が書いてある金属に脚を踏む。
瞬間、彼は今にも殺さんとばかりに俺に鋭い目つきで睨みつけてきた。
「……クリフトよ。何事だ。いくらそなたであっても騒ぐことは許さんぞ」
「国王!この者に死刑を!証言はとってあります!!今すぐに!!」
「まぁまあ少し落ち着いてくださいよ」
少し大きな声を出して、彼の言葉を遮る。
「……被告人よ。一体何事だ?」
「……まずは一点。この者……及びオルバドス家はバシリス教団と繋がっています」
そう言った瞬間、ざわざわと傍聴人席が騒ぎ出した。
「その根拠一。この絵を踏んだことによる過剰反応」
そう言って今俺が踏んだ踏み絵を手で持ち上げる。
そこには槍と剣を待った阿修羅のような異形な姿が映っている。
「そ、それは……?」
「一説によると、これは彼らが信仰する神、グラディウスの姿だと言われているぞ……なんでここまで反応が敏感なのか……分かるな?」
ラーナとルシアが驚愕の様子のまま、その絵を間近で見ている。
クリフトは怒りで冷静でないのか、殺気だけで俺を殺さんと思えるほどの目力で見ている。
「……根拠そのニ。彼は……彼らは私を陥れようと捏造の証拠を提出してきた」
そう言って先ほど証拠として提出された水晶に再び魔力を抽出……本来の声になるように調整する。
「な、なに!?」
それにはクリフトも声が荒げた。それもそのはずだ。だって……その声の主は他でもない、クリフト自身であったのだから。
「……どういうことだ被告人?」
「簡単なことですよ国王様。彼は私を確実に有罪させるためにこの水晶玉を使った。でもその声は私のではなかった……クリフト様本人だったのですよ」
「で、出鱈目だ!!魔力を操作すればそんなもの誰だってできる!!」
「ではこれを作った人……もしくは宮廷魔法使いを呼んでみますか?彼らなら本来の声を再生することができます……どうしますか?」
「くっ……」
反論してきたが、ぐぅの音も出ずに黙って俯いてしまう。その様子を見て再び話を続ける。
「……根拠三。彼らはカロナイラ家の長女、ナーシャ・カロカイラを脅して、その親であるバレロナ様とシレイ様を誘拐した」
「……なんだと?」
それに反応したのは、他でもない国王オルデリング王であった。
「……どういうことだクリフトよ。我が友、バレロナを攫い、尚且つそこにいるナーシャ・カロナイラを脅そうとは」
「こ、こんな奴に耳を貸さないでください国王様!そんなものどこにも証拠がないではありませんか!!」
オルデリング王とクリフトが口論をしている間、ナーシャから悲痛な目線でこちらを見てきた。
「あ、アクセル様……!そのことは…!」
「……言ったはずですよナーシャ……信じろと」
「っ!?」
「だから……大丈夫だ」
苦しそうに顔を歪ませているナーシャにそれだけ伝えて、最後に俺はその根拠を彼らに言い放つ。
「根拠……その四」
そして、俺はクリフトに向かって魔法を放った。その魔法の名は…… 魔法解除。
「なぁっ!?」
「バシリス教団は人だけではなく、数ある多くの種族が加入しているグループだ」
彼が驚く間も、クリフトの身体は徐々に身体つきが変わっていく。
そして身体の変化が終わった所で見えてくる……彼ら特有の長い耳が法廷中の人たちの目に入った。
「そして、オルバトス家はただの人種族ではない。その正体は——」
——人族の血とエルフの血を引き継いだ混血の者たち。それが、オルバドス家の正体だ。
法廷中にクリフトの声が響き渡る。その豹変ぶりに思わず全員が彼に注目する。
「別に、私は脚が滑っただけですよ。おっと……」
そう言ってまた絵が書いてある金属に脚を踏む。
瞬間、彼は今にも殺さんとばかりに俺に鋭い目つきで睨みつけてきた。
「……クリフトよ。何事だ。いくらそなたであっても騒ぐことは許さんぞ」
「国王!この者に死刑を!証言はとってあります!!今すぐに!!」
「まぁまあ少し落ち着いてくださいよ」
少し大きな声を出して、彼の言葉を遮る。
「……被告人よ。一体何事だ?」
「……まずは一点。この者……及びオルバドス家はバシリス教団と繋がっています」
そう言った瞬間、ざわざわと傍聴人席が騒ぎ出した。
「その根拠一。この絵を踏んだことによる過剰反応」
そう言って今俺が踏んだ踏み絵を手で持ち上げる。
そこには槍と剣を待った阿修羅のような異形な姿が映っている。
「そ、それは……?」
「一説によると、これは彼らが信仰する神、グラディウスの姿だと言われているぞ……なんでここまで反応が敏感なのか……分かるな?」
ラーナとルシアが驚愕の様子のまま、その絵を間近で見ている。
クリフトは怒りで冷静でないのか、殺気だけで俺を殺さんと思えるほどの目力で見ている。
「……根拠そのニ。彼は……彼らは私を陥れようと捏造の証拠を提出してきた」
そう言って先ほど証拠として提出された水晶に再び魔力を抽出……本来の声になるように調整する。
「な、なに!?」
それにはクリフトも声が荒げた。それもそのはずだ。だって……その声の主は他でもない、クリフト自身であったのだから。
「……どういうことだ被告人?」
「簡単なことですよ国王様。彼は私を確実に有罪させるためにこの水晶玉を使った。でもその声は私のではなかった……クリフト様本人だったのですよ」
「で、出鱈目だ!!魔力を操作すればそんなもの誰だってできる!!」
「ではこれを作った人……もしくは宮廷魔法使いを呼んでみますか?彼らなら本来の声を再生することができます……どうしますか?」
「くっ……」
反論してきたが、ぐぅの音も出ずに黙って俯いてしまう。その様子を見て再び話を続ける。
「……根拠三。彼らはカロナイラ家の長女、ナーシャ・カロカイラを脅して、その親であるバレロナ様とシレイ様を誘拐した」
「……なんだと?」
それに反応したのは、他でもない国王オルデリング王であった。
「……どういうことだクリフトよ。我が友、バレロナを攫い、尚且つそこにいるナーシャ・カロナイラを脅そうとは」
「こ、こんな奴に耳を貸さないでください国王様!そんなものどこにも証拠がないではありませんか!!」
オルデリング王とクリフトが口論をしている間、ナーシャから悲痛な目線でこちらを見てきた。
「あ、アクセル様……!そのことは…!」
「……言ったはずですよナーシャ……信じろと」
「っ!?」
「だから……大丈夫だ」
苦しそうに顔を歪ませているナーシャにそれだけ伝えて、最後に俺はその根拠を彼らに言い放つ。
「根拠……その四」
そして、俺はクリフトに向かって魔法を放った。その魔法の名は…… 魔法解除。
「なぁっ!?」
「バシリス教団は人だけではなく、数ある多くの種族が加入しているグループだ」
彼が驚く間も、クリフトの身体は徐々に身体つきが変わっていく。
そして身体の変化が終わった所で見えてくる……彼ら特有の長い耳が法廷中の人たちの目に入った。
「そして、オルバトス家はただの人種族ではない。その正体は——」
——人族の血とエルフの血を引き継いだ混血の者たち。それが、オルバドス家の正体だ。
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