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第130話 謁見
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「面をあげよ」
この国の王…… オルデリング・ネファース・ミレイスの威厳が乗った声を聞き、俺たちは下を向いていた顔を上げる。
そこにはローズと似たラベンダーの長い髪をたなびかせ、50代とは思えない……というか見た目でいえば父上や母上と同じ30代のような見た目をしている。
だが、そこには確かな王として風格が感じられる。流石はこの国の王ということだ。
そしてその周りには4人の人物がいる。
その一人はローズなのだが、あとの3人もおそらく家族なのだろうか、右隣には彼の妻であろうお人が、また左隣にはローズの兄であろう二人の姿がある。
「……バレロナよ。この者が噂の?」
「はい。オルデリング様がお望みになられた子達ですよ」
「なるほど……それにしても、まさかその中にそなたらがいるとはな……英雄……舞姫」
面白そうに呟いているオルデリングに対して、マリアは特に動揺せずに答える。
「お久しぶりでごさいます、オルデリング王。再びお目にできる事を嬉しく思います」
「良い。英雄……マリアよ。そんな堅苦しいのは我は好まん。それにしてもまさかそこにいる者の姉とはな……驚きといえば、舞姫も同じことよの」
そう言って次に王様はマリアからジークに目を移す。
「最近全く見ないと思えば、まさかレステンクールの者に仕えてたとは……一体どういう吹き回しなのだ?」
「……私はただ、仕えるべき主君を見つけただけです」
「はははっ。相変わらずの塩対応だな。良い良い。そなたとこうしてまた会えたこと、我は嬉しく思うとるぞ」
一通り二人と会話をして、次にソフィアとローレンス、ナーシャに視線を向ける。
「……なるほどな。最近、武勇祭にて激闘を繰り広げた氷覇王に、王立学園にて魔法の真価を見出した魔帝王……そして、今噂のバレロナの娘……水の使者か。大物揃いもいいところだな……そして」
そしてみんなを見まわした所で……ついに本命と言わんばかりに俺の方に向いてきた。
「……やっとそなたを目にすることが出来たぞ……アクセル・アンドレ・レステンクール」
……ユニーレの時とは違う迫力のあるオーラを感じたり、思わず少し萎縮してしまう。
流石に一国の王様の前だと少し緊張するな。
「はははっ!一国を救った影の英雄でも、緊張することがあるのだな」
俺の姿を見て、豪快に笑い出した。
「……にしてもバレロナ。そなたいつまでそんな堅苦しくしてるつもりなのだ?ここには我らしかいないのだから、いつも通りにしても構わんぞ?」
「……そうですか……ならお言葉に甘えて……」
するとバレロナ様が雰囲気が変わった。堅苦しいのが解けて……ん?なんか目が軽蔑の色に染まってないか?
「……私は言ったはずだぞ?この件には関わるなと。それなのにお前ときたら…!」
「なんだ?別にいいではないか。元々あの者に興味があったからな」
「お、お前!さては最初から……!」
「さぁ、なんのことやら?俺は何も知らんぞ」
「くっ……この、無能王が!」
「なっ!?なんだその言い方は!?そこまで言うのか!?」
「言うわ!!アクセル君に許してもらったからいいものを……もう少しお前は分を弁えろ!!」
「一応俺は王なのだがなぁ!?」
……な、なんだか想像とは違う二人の姿見て呆気に取られてしまう。というか王様、あんたの一人称俺なのね……。
あ、あの二人を知っている人達苦笑してますね。主にナーシャとか、ローズたちが……。
「……んん。まぁバレロナとの会話はこのくらいにして……アクセルよ」
「……はい」
「まずは礼を言う。2年前、ペレク家による国家転覆……よくぞ防いでくれた。大義であった」
「……私一人の力では何も出来ませんでした。協力してくれた人たちのお陰です」
「謙虚なのだな。もう少し威張ってもいいのだが……くくっ、益々そなたに興味をそそられるな」
……そんな興味を持たれても困りますよ。というか、俺一人じゃほんとに防げたなんて分からなかったしな、あの事件は。
「そんな謙虚なアクセルに俺から一つ頼みがある」
すると、オルデリング王の視線が一人の男…‥紫の短髪の男に向けられ、その男が俺にどんどん近づいていく。
「初めまして、アクセルさん。父、オルデリングの息子のハデロ・ネファース・ミレイスです」
「…アクセル・アンドレ・レステンクールです」
一通り自己紹介をして差し出してくれた彼の……ハロデの手を握り握手する。
(……結構鍛えてるな)
華麗な佇まいとは対照的なごつく、ボロボロの手を見て感想を呟く。
「アクセルさん……ぜひこの国をお救いになったその実力を、僕に見せてくれませんか?」
……その言葉を聞いて理解する。あぁ、なるほどこの人……戦闘好きか。
どうやらオルデリンク王の頼みとは彼と戦うことらしい。その実力を見せて欲しい……ということね。
(……後ろにいるソフィアたちも不思議と凄い目をキラキラさせてるような気がするし……仕方ない)
少し、乱暴しようか。
この国の王…… オルデリング・ネファース・ミレイスの威厳が乗った声を聞き、俺たちは下を向いていた顔を上げる。
そこにはローズと似たラベンダーの長い髪をたなびかせ、50代とは思えない……というか見た目でいえば父上や母上と同じ30代のような見た目をしている。
だが、そこには確かな王として風格が感じられる。流石はこの国の王ということだ。
そしてその周りには4人の人物がいる。
その一人はローズなのだが、あとの3人もおそらく家族なのだろうか、右隣には彼の妻であろうお人が、また左隣にはローズの兄であろう二人の姿がある。
「……バレロナよ。この者が噂の?」
「はい。オルデリング様がお望みになられた子達ですよ」
「なるほど……それにしても、まさかその中にそなたらがいるとはな……英雄……舞姫」
面白そうに呟いているオルデリングに対して、マリアは特に動揺せずに答える。
「お久しぶりでごさいます、オルデリング王。再びお目にできる事を嬉しく思います」
「良い。英雄……マリアよ。そんな堅苦しいのは我は好まん。それにしてもまさかそこにいる者の姉とはな……驚きといえば、舞姫も同じことよの」
そう言って次に王様はマリアからジークに目を移す。
「最近全く見ないと思えば、まさかレステンクールの者に仕えてたとは……一体どういう吹き回しなのだ?」
「……私はただ、仕えるべき主君を見つけただけです」
「はははっ。相変わらずの塩対応だな。良い良い。そなたとこうしてまた会えたこと、我は嬉しく思うとるぞ」
一通り二人と会話をして、次にソフィアとローレンス、ナーシャに視線を向ける。
「……なるほどな。最近、武勇祭にて激闘を繰り広げた氷覇王に、王立学園にて魔法の真価を見出した魔帝王……そして、今噂のバレロナの娘……水の使者か。大物揃いもいいところだな……そして」
そしてみんなを見まわした所で……ついに本命と言わんばかりに俺の方に向いてきた。
「……やっとそなたを目にすることが出来たぞ……アクセル・アンドレ・レステンクール」
……ユニーレの時とは違う迫力のあるオーラを感じたり、思わず少し萎縮してしまう。
流石に一国の王様の前だと少し緊張するな。
「はははっ!一国を救った影の英雄でも、緊張することがあるのだな」
俺の姿を見て、豪快に笑い出した。
「……にしてもバレロナ。そなたいつまでそんな堅苦しくしてるつもりなのだ?ここには我らしかいないのだから、いつも通りにしても構わんぞ?」
「……そうですか……ならお言葉に甘えて……」
するとバレロナ様が雰囲気が変わった。堅苦しいのが解けて……ん?なんか目が軽蔑の色に染まってないか?
「……私は言ったはずだぞ?この件には関わるなと。それなのにお前ときたら…!」
「なんだ?別にいいではないか。元々あの者に興味があったからな」
「お、お前!さては最初から……!」
「さぁ、なんのことやら?俺は何も知らんぞ」
「くっ……この、無能王が!」
「なっ!?なんだその言い方は!?そこまで言うのか!?」
「言うわ!!アクセル君に許してもらったからいいものを……もう少しお前は分を弁えろ!!」
「一応俺は王なのだがなぁ!?」
……な、なんだか想像とは違う二人の姿見て呆気に取られてしまう。というか王様、あんたの一人称俺なのね……。
あ、あの二人を知っている人達苦笑してますね。主にナーシャとか、ローズたちが……。
「……んん。まぁバレロナとの会話はこのくらいにして……アクセルよ」
「……はい」
「まずは礼を言う。2年前、ペレク家による国家転覆……よくぞ防いでくれた。大義であった」
「……私一人の力では何も出来ませんでした。協力してくれた人たちのお陰です」
「謙虚なのだな。もう少し威張ってもいいのだが……くくっ、益々そなたに興味をそそられるな」
……そんな興味を持たれても困りますよ。というか、俺一人じゃほんとに防げたなんて分からなかったしな、あの事件は。
「そんな謙虚なアクセルに俺から一つ頼みがある」
すると、オルデリング王の視線が一人の男…‥紫の短髪の男に向けられ、その男が俺にどんどん近づいていく。
「初めまして、アクセルさん。父、オルデリングの息子のハデロ・ネファース・ミレイスです」
「…アクセル・アンドレ・レステンクールです」
一通り自己紹介をして差し出してくれた彼の……ハロデの手を握り握手する。
(……結構鍛えてるな)
華麗な佇まいとは対照的なごつく、ボロボロの手を見て感想を呟く。
「アクセルさん……ぜひこの国をお救いになったその実力を、僕に見せてくれませんか?」
……その言葉を聞いて理解する。あぁ、なるほどこの人……戦闘好きか。
どうやらオルデリンク王の頼みとは彼と戦うことらしい。その実力を見せて欲しい……ということね。
(……後ろにいるソフィアたちも不思議と凄い目をキラキラさせてるような気がするし……仕方ない)
少し、乱暴しようか。
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