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第115話 ダンジョンクリア
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ルシアと話が終わり、俺はそのまま森の奥へと進んで行く。
少しだけ雰囲気がジメッとしただけで特に何か変わったことは感じられない。
そんな森の中を少しずつ歩いて行くと、俺を待っていたかのように、その場で立ち止まっている金髪の長い髪をした人物がいた。
「悪いジーク、少し時間がかかった」
「いえ、大丈夫です。その間に少し探索していましたから」
「何かあったか?」
「魔物の類はいなかったのですが、少しトラップが仕掛けられていました」
ふむ、まさにダンジョンありがちな要素だな。
辺りを見てみると、ジークが発動させたのか、所々地面に穴が空いていたり、槍みたいな鋭いものが突き刺さったりしていた。
「分かった。じゃあ先に進もうか」
魔物はともかく、罠には注意して進まないとな。
そんなことを考えながら、ジメッとした雰囲気を醸しだしている森の奥へと進んで行ったのだった。
◇
あれから、スライムやフォレストウルフに加えて、ゴブリンが襲ってきたのを難なく討伐していったり、ジークの五感により罠を回避したりと、順調に進んで行けた。
正直に言えば、難易度が低すぎてダンジョンに行ってる感覚があまりなかった。
まぁ、他の人たちはそうでもなかったのか、凄い慎重に歩いていたから、やっぱりアクセルたちの強さはとんでもないということか。
そんなこんなで今はこのダンジョンのもう一体のボスの前まで到着している。
「……あれって確か……オーガだったか?」
特徴のある三日月のようなツノに、人よりも数段膨れ上がったその赤黒い身体、よく見るオーガの特徴を持っていた。
「初級ダンジョンでオーガがボスに出てくるのは珍しいですね。てっきりオークが出てくると予想していましたが……」
あ、やっぱり珍しいのね。そんな風にオーガを眺めていると、俺たちの存在に気付いたのか、雄叫びをあげてきた。
「"ガァアアアアアっ!!"」
そのまま自慢の爪で俺たちを攻撃しようと襲いにかかってくる。
「じゃあジーク。久しぶりにいくか」
「えぇ。ぜひ、そのお力をお貸しください」
オーガの攻撃を避けながら、俺は刀を、ジークは双剣を構え、奴に突っ込む。
「"ガァアアアアっ!!"」
オーガも再び雄叫びをあげて、俺たちに向けて腕で薙ぎ払いをしてくる。
その攻撃を俺はジャンプして、ジークは体勢を低くして回避、そのままオーガの身体目掛けて切り裂いていく。
「"ガァアっ!?"」
顔を顰めていたが、オーガはそんな攻撃にも怯まず、そのままこちらに向けて殴りかかってきた。
だが、俺を守るようにジークが前に出て、オーガの巨大な拳を彼女の巧みな剣術でいなし、その隙を逃さないように俺が目を斬り裂いた。
声にもならない悲鳴を出しているが、そこにジークが背後に回り、怒涛の乱撃で皮膚を少しずつ抉りとる。
俺もジークと同じように奴の正面で奴の身体にある皮膚を斬り裂き……ジークの双剣が交わった時、オーガはそのまま力なく倒れた。
「……これ、やりすぎたか?」
ほとんど身体は残っておらず、腕、脚、頭だけが残ったその有様につい苦笑してしまう。
「とにかく……お疲れ様ジーク。おかげで早く倒せたよ」
「アクセル様こそお疲れ様です。私もここまで早く倒せるとは思わず、少し驚いています」
見ると、ジークも少し苦笑ぎみだ。彼女もやり過ぎたという自覚があったのだろうか。
オーガの魔石とそのツノだけ剥ぎ取って、収納ボックスにいれえから、刀もそのまま鞘の中に入れた。
「確かこれでダンジョンクリアだったか?」
「はい、私の記憶が正しければそのはずです。皆様も奥で待っていると思います」
うーん……やっぱり呆気なかったな。ダンジョン、意外と楽しみにしていたんだけどなぁ……。
そのまま奥へと進むと……どうやらジークの予想は当たったようだ。
見ると、見覚えのある奴らばかりいて……。
「……なんであいつはまた氷漬けにされているんだ?」
何故か幸せそうに笑って凍っているアレスの姿が目に焼きついてしまう。あいつ……最早変態だろ、あそこまで行くと。
「あ、お兄様!!」
そんなこと気にもしていないのか、十数人くらいに囲まれてもなお、ソフィア達がこちらに向かってきてた。
(……ひとまず、これでダンジョンクリアかな)
妹の身体を受け止めながら、そんな考えをして、初めてのダンジョン攻略はこうして呆気なく終わりを迎えたのであった。
少しだけ雰囲気がジメッとしただけで特に何か変わったことは感じられない。
そんな森の中を少しずつ歩いて行くと、俺を待っていたかのように、その場で立ち止まっている金髪の長い髪をした人物がいた。
「悪いジーク、少し時間がかかった」
「いえ、大丈夫です。その間に少し探索していましたから」
「何かあったか?」
「魔物の類はいなかったのですが、少しトラップが仕掛けられていました」
ふむ、まさにダンジョンありがちな要素だな。
辺りを見てみると、ジークが発動させたのか、所々地面に穴が空いていたり、槍みたいな鋭いものが突き刺さったりしていた。
「分かった。じゃあ先に進もうか」
魔物はともかく、罠には注意して進まないとな。
そんなことを考えながら、ジメッとした雰囲気を醸しだしている森の奥へと進んで行ったのだった。
◇
あれから、スライムやフォレストウルフに加えて、ゴブリンが襲ってきたのを難なく討伐していったり、ジークの五感により罠を回避したりと、順調に進んで行けた。
正直に言えば、難易度が低すぎてダンジョンに行ってる感覚があまりなかった。
まぁ、他の人たちはそうでもなかったのか、凄い慎重に歩いていたから、やっぱりアクセルたちの強さはとんでもないということか。
そんなこんなで今はこのダンジョンのもう一体のボスの前まで到着している。
「……あれって確か……オーガだったか?」
特徴のある三日月のようなツノに、人よりも数段膨れ上がったその赤黒い身体、よく見るオーガの特徴を持っていた。
「初級ダンジョンでオーガがボスに出てくるのは珍しいですね。てっきりオークが出てくると予想していましたが……」
あ、やっぱり珍しいのね。そんな風にオーガを眺めていると、俺たちの存在に気付いたのか、雄叫びをあげてきた。
「"ガァアアアアアっ!!"」
そのまま自慢の爪で俺たちを攻撃しようと襲いにかかってくる。
「じゃあジーク。久しぶりにいくか」
「えぇ。ぜひ、そのお力をお貸しください」
オーガの攻撃を避けながら、俺は刀を、ジークは双剣を構え、奴に突っ込む。
「"ガァアアアアっ!!"」
オーガも再び雄叫びをあげて、俺たちに向けて腕で薙ぎ払いをしてくる。
その攻撃を俺はジャンプして、ジークは体勢を低くして回避、そのままオーガの身体目掛けて切り裂いていく。
「"ガァアっ!?"」
顔を顰めていたが、オーガはそんな攻撃にも怯まず、そのままこちらに向けて殴りかかってきた。
だが、俺を守るようにジークが前に出て、オーガの巨大な拳を彼女の巧みな剣術でいなし、その隙を逃さないように俺が目を斬り裂いた。
声にもならない悲鳴を出しているが、そこにジークが背後に回り、怒涛の乱撃で皮膚を少しずつ抉りとる。
俺もジークと同じように奴の正面で奴の身体にある皮膚を斬り裂き……ジークの双剣が交わった時、オーガはそのまま力なく倒れた。
「……これ、やりすぎたか?」
ほとんど身体は残っておらず、腕、脚、頭だけが残ったその有様につい苦笑してしまう。
「とにかく……お疲れ様ジーク。おかげで早く倒せたよ」
「アクセル様こそお疲れ様です。私もここまで早く倒せるとは思わず、少し驚いています」
見ると、ジークも少し苦笑ぎみだ。彼女もやり過ぎたという自覚があったのだろうか。
オーガの魔石とそのツノだけ剥ぎ取って、収納ボックスにいれえから、刀もそのまま鞘の中に入れた。
「確かこれでダンジョンクリアだったか?」
「はい、私の記憶が正しければそのはずです。皆様も奥で待っていると思います」
うーん……やっぱり呆気なかったな。ダンジョン、意外と楽しみにしていたんだけどなぁ……。
そのまま奥へと進むと……どうやらジークの予想は当たったようだ。
見ると、見覚えのある奴らばかりいて……。
「……なんであいつはまた氷漬けにされているんだ?」
何故か幸せそうに笑って凍っているアレスの姿が目に焼きついてしまう。あいつ……最早変態だろ、あそこまで行くと。
「あ、お兄様!!」
そんなこと気にもしていないのか、十数人くらいに囲まれてもなお、ソフィア達がこちらに向かってきてた。
(……ひとまず、これでダンジョンクリアかな)
妹の身体を受け止めながら、そんな考えをして、初めてのダンジョン攻略はこうして呆気なく終わりを迎えたのであった。
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