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君は?
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「ねえ、なんで泣いてるの?」
「なんでそんなに悲しそうな顔してるの?」
ピピピピ
アラームの音で目が覚めた。
瞼からこぼれ落ちる雫。
ほとぼりの冷めない体の熱。
夢の中で頻繁に現れる顔も名前も分からない男の人。
何故かいつも私は泣いている。
学校の支度を済ませ、ご飯を食べ、歯を磨くいつもと変わらない日常。
ただ一ついつもと違うのはこの心のざわめきだけだった。
学校でも夢の中の男の人のことばかり頭に浮かぶ。
森の中1人泣いているそんな私に声をかけてくれる男の人。
「ねえなんで泣いてるの?」
「なんで悲しい顔してるの?」
その言葉が頭の中をリピートする。
なんで泣いているのか私にも分からない。ただ一つ分かることはその男の人に対して何かしらの感情が芽生え始めているということだけだっだった。
「かおり…かおりってば!」
ぼーっとしていた私はその声で日常に引き戻された。
「どうしたの?この頃ぼーとしてる事多くない?」
なぎさが心配そうに声をかけてくれる。
「大丈夫だよ。考え事してた。」
幼なじみのなぎさは人当たりが良くて男女関わらず友達の多い自慢の友達。昔から短めの黒い髪は近所でも評判がよかった。身長は自動販売機の2段目にようやく届く位の身長だ。
「今日少し時間ある?相談したいことがあるんだけど。」
いつもの明るいなぎさとは打って変わって深刻そうな顔をして言った。
「うん。大丈夫だよ。じゃあ学校終わりにいつもの公園で。」
今日は特別用事もなかったから心配になって返事をした。
学校の授業も終わり公園へ足を進める。
先に着いていたなぎさがブランコに腰を下ろして携帯を眺めていた。
「お疲れ様。それで相談したいことってなに?」
横のブランコに腰掛けてなぎさに聞いた。
「これ見て?」
そう言って渡してきたのはさっき眺めていた携帯だった。
中には男の人だと感じられる人とのメールの履歴だった。
けいご
「なぎさってさ、この頃元気なくない?なんかあったの?」
なぎさ
「ううん!全然元気だよ!」
けいご
「それにしては授業中とか外ばっかみてるじゃん」
「それは!外で遊んでる人達見てたの!」
けいご
「そっか…俺結構お前のこと心配してるんだぜ?」
なぎさ
「なんでそんなに心配するの!大丈夫だって!」
けいご
「なんでってお前の事好きだから、気付いたら目で追っかけてる。」
ここまででメールはおわっていた。
携帯から視点をなぎさに移すと不安そうにこちらを覗き込んでいた。
暫くの沈黙の後なぎさがおもむろに質問してきた。
「これってさ告白だよね?まだ私彼氏出来たことなくて。と言うか恋が分からないんだけど恋ってなに?」
なぎさが聞いてきた質問はすぐには意味がわからなかった。何故なら私も恋というものが分からないからだ。けれど質問にはしっかり答えないといけないと思い必死に考えて答えた。
「多分これは恋だよね。けいご君からの告白と受け取っていいと思うよ?好きという感情はあまり私にも分からないけど一緒にいたいと思うなら恋なんじゃないかな?」
するとなぎさは一時考えて
「そうだよね」
と答えた。何か言いたそうな感じだったがあえては聞かず、また明日。と言ってなぎさと別れた。
帰り道なぎさの質問が頭をよぎった。
恋ってなに?
咄嗟になぎさには答えたが一緒にいたいと思うと恋なのかな。そんなことを考えてたら家に着いた。
食事を終わらせお風呂に入りながら考えた。
それなら夢に出てくるあの男の人に私は。
お風呂も上がって布団に入った。
少し寝るのが怖かった。あの男の人に会ったらどんな顔をすればいいだろうか。なんて言えばいいだろうか。そんなことを考えている間に夢の中へ落ちていった。
「ねえなんで泣いてるの?」
「なんで悲しい顔してるの?」
ピピピピ
まただ。話そうとしても声が出ない。
男の人と仲良くなりたい。そう願っても叶わない想いに胸が張り裂けそうな感じが何故か心地よかった。
それからは他の人には目を向けずその人だけを考えて生活していた。毎日毎日夢の中だけで会える男の人。いつか話せる時が来ればいいと願う事しか出来なかった。
「なんでそんなに悲しそうな顔してるの?」
ピピピピ
アラームの音で目が覚めた。
瞼からこぼれ落ちる雫。
ほとぼりの冷めない体の熱。
夢の中で頻繁に現れる顔も名前も分からない男の人。
何故かいつも私は泣いている。
学校の支度を済ませ、ご飯を食べ、歯を磨くいつもと変わらない日常。
ただ一ついつもと違うのはこの心のざわめきだけだった。
学校でも夢の中の男の人のことばかり頭に浮かぶ。
森の中1人泣いているそんな私に声をかけてくれる男の人。
「ねえなんで泣いてるの?」
「なんで悲しい顔してるの?」
その言葉が頭の中をリピートする。
なんで泣いているのか私にも分からない。ただ一つ分かることはその男の人に対して何かしらの感情が芽生え始めているということだけだっだった。
「かおり…かおりってば!」
ぼーっとしていた私はその声で日常に引き戻された。
「どうしたの?この頃ぼーとしてる事多くない?」
なぎさが心配そうに声をかけてくれる。
「大丈夫だよ。考え事してた。」
幼なじみのなぎさは人当たりが良くて男女関わらず友達の多い自慢の友達。昔から短めの黒い髪は近所でも評判がよかった。身長は自動販売機の2段目にようやく届く位の身長だ。
「今日少し時間ある?相談したいことがあるんだけど。」
いつもの明るいなぎさとは打って変わって深刻そうな顔をして言った。
「うん。大丈夫だよ。じゃあ学校終わりにいつもの公園で。」
今日は特別用事もなかったから心配になって返事をした。
学校の授業も終わり公園へ足を進める。
先に着いていたなぎさがブランコに腰を下ろして携帯を眺めていた。
「お疲れ様。それで相談したいことってなに?」
横のブランコに腰掛けてなぎさに聞いた。
「これ見て?」
そう言って渡してきたのはさっき眺めていた携帯だった。
中には男の人だと感じられる人とのメールの履歴だった。
けいご
「なぎさってさ、この頃元気なくない?なんかあったの?」
なぎさ
「ううん!全然元気だよ!」
けいご
「それにしては授業中とか外ばっかみてるじゃん」
「それは!外で遊んでる人達見てたの!」
けいご
「そっか…俺結構お前のこと心配してるんだぜ?」
なぎさ
「なんでそんなに心配するの!大丈夫だって!」
けいご
「なんでってお前の事好きだから、気付いたら目で追っかけてる。」
ここまででメールはおわっていた。
携帯から視点をなぎさに移すと不安そうにこちらを覗き込んでいた。
暫くの沈黙の後なぎさがおもむろに質問してきた。
「これってさ告白だよね?まだ私彼氏出来たことなくて。と言うか恋が分からないんだけど恋ってなに?」
なぎさが聞いてきた質問はすぐには意味がわからなかった。何故なら私も恋というものが分からないからだ。けれど質問にはしっかり答えないといけないと思い必死に考えて答えた。
「多分これは恋だよね。けいご君からの告白と受け取っていいと思うよ?好きという感情はあまり私にも分からないけど一緒にいたいと思うなら恋なんじゃないかな?」
するとなぎさは一時考えて
「そうだよね」
と答えた。何か言いたそうな感じだったがあえては聞かず、また明日。と言ってなぎさと別れた。
帰り道なぎさの質問が頭をよぎった。
恋ってなに?
咄嗟になぎさには答えたが一緒にいたいと思うと恋なのかな。そんなことを考えてたら家に着いた。
食事を終わらせお風呂に入りながら考えた。
それなら夢に出てくるあの男の人に私は。
お風呂も上がって布団に入った。
少し寝るのが怖かった。あの男の人に会ったらどんな顔をすればいいだろうか。なんて言えばいいだろうか。そんなことを考えている間に夢の中へ落ちていった。
「ねえなんで泣いてるの?」
「なんで悲しい顔してるの?」
ピピピピ
まただ。話そうとしても声が出ない。
男の人と仲良くなりたい。そう願っても叶わない想いに胸が張り裂けそうな感じが何故か心地よかった。
それからは他の人には目を向けずその人だけを考えて生活していた。毎日毎日夢の中だけで会える男の人。いつか話せる時が来ればいいと願う事しか出来なかった。
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