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第八十三話 月夜に散るは戦士の影
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《スキャン!アプルーヴ!SMC:治療!》
悟「まだ永眠にはまだ早えだろ。」
回復した如月の頬を引っ叩き起こさせる。
如月「我をどうするつもりだ…今度こそ生きる意味を見失なった我にこれ以上生きる意味など…」
悟「あるだろうが…明野町に住んでた人のご子孫を守るっていう戦士としての役割がよ。」
如月「しかし、我は大罪を犯した。幽鏡術の力に溺れ、復讐の道を歩んだ。そのような役目は我が…俺が就くような資格は無い。俺が行き付く先であろう地獄の釜も生ぬるいもの…俺に…この世界にいる意味など…」
悟「いいや、俺はそれ以外は許さない。お前がこの世界にいる意味が無いなら、一番の屈辱なら、この地獄で生き続けろ。それに…お前だって生きる意味を本当は見失っていなかったんじゃないか?戦いに挑んだ奴ならまだしも、それ以外の子孫には手を出さなかったんじゃないのか?」
如月「ッ!?」
悟「お前は村が大好きだった。心の底から安心できて、命は張って守りたいって思えるほどに……だったら、その気持ちを最後まで突き通せよ!好きだって思いを曲げるなよ!」
少しの沈黙の後、如月が口を開ける。
如月「其方の言う通りかもしれんな…」
如月は起き上がり、折れた刀拾うと俺へと託し話続ける
如月「俺もそう長く話せれる状態ではないようだ、時間も近づいている…俺にできる贖罪がそれなら、如月弦那も本望だ…其方、名前は…?」
悟「中川悟。」
如月「そうか…悟殿、俺を解放してくれたこと感謝する…其方との戦いは非常に満足できるものであった重ねて感謝する…」
如月の身体が少しづつ砕けていく。足取りが躍柄ないのかふらついている。倒れそうになる如月を抱える。
如月「嗚呼…信代よ…少し遅れるが、また…あの頃のように…俺を、待っててはくれるか……?」
最後にそう言い残し、如月の身体はまるで砂のように風化し、写り世の世界に消え、散っていった。
悟「きっと待っててくれるさ。あばよ、如月さん。」
俺は別れを告げ、写り物から現世へと帰還する。
小屋の戸を開けて外に出るとちょうど伊角達が到着した。
悟「よお!どうやら大丈夫みたいだな。」
伊角「あれぇ?予想以上に早いね、もっと時間かかると思ってたんだけど」
悟「あれ?そうなのか?」
伊角「何はともあれ無事でよかったよ。顔にちょっとしたやけどを負ってるけど治療のカードですぐ直ると思うよ。」
春田「あの、如月弦那はどうなったのですか?」
悟「あいつは…おそらく今からでも見守ってるんじゃないかな」
春田「見守る?」
悟「ああ、この町に住む元明野町の住人の子孫たちをよ」
そう話していると月島達も悟と合流する
月島「よかった…悟さん!!!!」
そう言いながら俺の胸へと月島ちゃんはダイブする。
悟「ぐふっ!?」
もちろんその姿はムーンビーストのままである
悟「待って!死んじゃう!その姿だとSTRがぁぁぁぁ」
月島「あっ!?ごめんなさい!!」
春田「悟さん、大丈夫ですか…きゃぁぁぁ!!??!!??」
突然、春田が悲鳴を上げる。
春田の方を見てみればすぐ隣に橘龍黒が呆然と立っていた。
橘「……ようやく、元の日常に戻ることができますね。おめでとうございます」
悟「そりゃ、どうも。で、なんでこんなとこにいるんだ?って言いたかったんだが、お前如月に幽鏡術使って負けた口だろ?」
橘は貴方達の背後を指差す。そこは先ほどの衝撃で壁が崩れ、小屋の裏手が見えるようになっていた。そこには1人の男が倒れている。それは橘龍黒本人であった。
橘「おっしゃる通りです。俺はここで奴と戦い、そして負けました。今はこうして、魂だけがこの世界にしがみついています」
月島「そうなんですか?」
晩野「いつから?」
橘「……最後に、俺のことをお話ししましょう。俺の昔の名前は御上龍黒…天白とレティシアとは腹違いの兄妹でした。」
悟「つまりは、俺が探してたのはお前だったって訳だ。にしても解せないのはお前と如月との因縁なんだが。それも話せるか?」
橘「…天白が裕一の汚職と、それによって殺された宮塚高樹のことを知ったのは、全て如月弦那が仕組んだことでした。奴は天白と接触して、裕一のことを吹き込んだんです。それを知った天白が殺され、そして俺が裕一を殺すことも…」
狭間「奴の考えたシナリオ通りだったと…」
橘「そして如月弦那は俺に決闘を言い渡してきました。あなたと同じようにこの場所で」
春田「そのは、なぜ貴方に?」
橘「御上家は本来、明野村の家系です。明野村では代々、その家系で生まれた長男を剣士に育てるという掟がありました。御上家の長男である俺は、奴基準で見れば剣士でもあり、それも最後の1人だったんです。奴は俺を殺すためだけに天白を唆して操り、自分自身を恨ませた。そしえ天白から貰った【幽鏡術】で奴に挑みましたが、勝てなかった……昨日の夜のことです」
伊角「昨日の夜ということは、私たちが襲われた時と同じ時間帯か。」
橘「おそらくそれは、俺との戦いのすぐ後でしょう」
悟「だが、奴はあんたとの戦いでも結局、満たされることがなかった。だから俺たちを次の標的に選んだ」
橘「しかし、あなた方のおかげで奴は消えた。みなさん、本当にありがとうございます…これで俺も…ようやく消えることができる」
橘の身体が次第に薄くなっていく
橘「悟さん、最後にお願いがあります。貴方は今、あの三面鏡を持っていますか?」
悟「ああ、持ってる。」
橘「その鏡は俺が昔、天白とレティシアにあげた物です。そしてレティシアももうすぐこの街にやって来る。もし会えたなら、それを渡してあげてください」
悟「ああ、本物のレティシアに渡せばいいんだな?」
橘「どうか……お願いします……」
そういうと橘の体はどんどんと薄くなっていき、消えていく。
こうして事件の犯人は消えて、街にはいつもの平和が戻った。
それぞれの自宅へと帰り、元の日常へと戻る。
それから一週間が立った時、俺達へ春田から電話があった。その内容とは「御上家のお墓があるのでそこに墓参りに行かないか?」ということであった。
俺たちは御上家のお墓の前でもう一度集まることとなる。その日は奇しくも、伊角達が事件に巻き込まれた時と同じように、雨の日であった。
悟「あれから一週間か。シナリオ報酬なしで下がれるか!と思ってたが、まさか時間経過で貰うことになるとは…」
月島「もしかして続編があるのか!?ってビクビクしてましたもんね」
狭間「まあ、これでシナリオも終わるんだし、いいんじゃないかな?」
伊角「それもそうだね。」
悟「どうか安らかに…」
全員で墓にお花をお供えしたあたりで、後ろから春田の声がかかる。
晩野「どうやら、春田も今来たようだ。」
春田「すみません、少し遅れてしまいました。すでにみなさん、集まっているんですね。この人をみなさんに紹介しようと思いまして」
春田の隣には1人の女性が立っている。それは御上天白とは瓜二つの女性である。
春田「彼女がトーマ=レティシアさん。天白さんと龍黒さんの妹です。つい先日、フランスから日本に留学してきたそうです」
レティシア「トーマ=レティシアです。事件のことは春田さんから聞きました。皆さんのおかげでその事件も解決されたと…ありがとうございました」
月島「あの、先日ですか?」
レティシア「一昨日です。フランスで母が去年亡くなって、姉のいる日本へ留学しようと思ってこの街に来ました」
月島「悟さんとは会ってるんですよね?」
月島が詰め寄るとレティシアは困惑した表情で話す
レティシア「え、えっと、たぶん初対面だと思いますけど…」
月島「あ、あれぇ…?」
悟「初めまして、トーマ=レティシアさん。俺の名前は中川悟、レティシアさんは右利きなのですね」
レティシア「そう言う貴方は姉と同じ左利きなのですか?」
悟「いえいえ、実に姉の方に似ていたので、ちょっとした本人確認ですよ。」
レティシア「は、はあ?」
やっぱりな、あの時会ったのはトーマ=レティシアじゃなかった。既に亡くなっていた天白さんだったんだ。最初こそは普通の人間かと思ってたんだが、心理学ロールが利かなかったのは、コーヒーカップが割れたのは幽霊だったからってので説明がつく現象だった。
悟「それと、大切な方から預かってるものがありまして。」
俺は三面鏡を手渡す
レティシア「これは…あの時の鏡」
レティシアは傘を畳み、その鏡を受け取る。そしてポケットから一枚の写真を取り出した。それは三人の兄妹が写っている写真。
レティシア「やっと、私たち三人が一緒になれました。もう二度と……離れません……」
写真を鏡の中に閉じて、静かに佇むレティシア。そこには雨の音だけが響いていた。
あの事件から数日後、俺達に一通の手紙が届いた。それはレティシアからの手紙であり、事件のその後と自分がどうなったかを綴っていた。
手紙の内容
お元気にしていますか?
私は今、姉の通っていた大学へと編入進学しました。姉の友達から姉の話が聞けることがとても嬉しいです。
あの事件の後、例の実行犯との裁判もわたし一人では分からないことだらけでしたが、心優しい弁護士さんが親身になってサポートしてくれました。後から刑事さんに聞いたんですが、犯人の逮捕にも皆さんが協力してくれていたんですね。
それから美容院でアルバイトも始めてみたりしました。日本語がまだまだ苦手な私に、店長は優しく教えてくれます。
みんな優しい人ばかりで、この町でも何とかやっていけそうです。本当にありがとうございました。またきちんとお礼をしたいので、今度みんなで食事にでも行きましょう。
--レティシアより
悟「何と返事が早いこった。明野町を離れて数十日が立ったが向こうも元気そうで何よりだ。」
俺は事務所の窓から景色を眺めながらコーヒーを飲む。
悟「カフェイン入れたところで、探偵仕事頑張りますかね。お前も、今日ばっかりは言う事聞けよ?」
「わ、わかってますぅー!」
悟「だと良いんだが…」
クトゥルフ神話TRPG"鏡鏡鏡" 完
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
クリア報酬
SAN値+1d10+1d6
[伊角
1D6+1D10→7
SAN75→82
晩野
1D6+1D10→9
SAN71→80
月島
1D6+1D10→12
SAN79→91
悟
1D6+1D10→5
SAN81→86
狭間
1D6+1D10→9
SAN62→71]
悟「まだ永眠にはまだ早えだろ。」
回復した如月の頬を引っ叩き起こさせる。
如月「我をどうするつもりだ…今度こそ生きる意味を見失なった我にこれ以上生きる意味など…」
悟「あるだろうが…明野町に住んでた人のご子孫を守るっていう戦士としての役割がよ。」
如月「しかし、我は大罪を犯した。幽鏡術の力に溺れ、復讐の道を歩んだ。そのような役目は我が…俺が就くような資格は無い。俺が行き付く先であろう地獄の釜も生ぬるいもの…俺に…この世界にいる意味など…」
悟「いいや、俺はそれ以外は許さない。お前がこの世界にいる意味が無いなら、一番の屈辱なら、この地獄で生き続けろ。それに…お前だって生きる意味を本当は見失っていなかったんじゃないか?戦いに挑んだ奴ならまだしも、それ以外の子孫には手を出さなかったんじゃないのか?」
如月「ッ!?」
悟「お前は村が大好きだった。心の底から安心できて、命は張って守りたいって思えるほどに……だったら、その気持ちを最後まで突き通せよ!好きだって思いを曲げるなよ!」
少しの沈黙の後、如月が口を開ける。
如月「其方の言う通りかもしれんな…」
如月は起き上がり、折れた刀拾うと俺へと託し話続ける
如月「俺もそう長く話せれる状態ではないようだ、時間も近づいている…俺にできる贖罪がそれなら、如月弦那も本望だ…其方、名前は…?」
悟「中川悟。」
如月「そうか…悟殿、俺を解放してくれたこと感謝する…其方との戦いは非常に満足できるものであった重ねて感謝する…」
如月の身体が少しづつ砕けていく。足取りが躍柄ないのかふらついている。倒れそうになる如月を抱える。
如月「嗚呼…信代よ…少し遅れるが、また…あの頃のように…俺を、待っててはくれるか……?」
最後にそう言い残し、如月の身体はまるで砂のように風化し、写り世の世界に消え、散っていった。
悟「きっと待っててくれるさ。あばよ、如月さん。」
俺は別れを告げ、写り物から現世へと帰還する。
小屋の戸を開けて外に出るとちょうど伊角達が到着した。
悟「よお!どうやら大丈夫みたいだな。」
伊角「あれぇ?予想以上に早いね、もっと時間かかると思ってたんだけど」
悟「あれ?そうなのか?」
伊角「何はともあれ無事でよかったよ。顔にちょっとしたやけどを負ってるけど治療のカードですぐ直ると思うよ。」
春田「あの、如月弦那はどうなったのですか?」
悟「あいつは…おそらく今からでも見守ってるんじゃないかな」
春田「見守る?」
悟「ああ、この町に住む元明野町の住人の子孫たちをよ」
そう話していると月島達も悟と合流する
月島「よかった…悟さん!!!!」
そう言いながら俺の胸へと月島ちゃんはダイブする。
悟「ぐふっ!?」
もちろんその姿はムーンビーストのままである
悟「待って!死んじゃう!その姿だとSTRがぁぁぁぁ」
月島「あっ!?ごめんなさい!!」
春田「悟さん、大丈夫ですか…きゃぁぁぁ!!??!!??」
突然、春田が悲鳴を上げる。
春田の方を見てみればすぐ隣に橘龍黒が呆然と立っていた。
橘「……ようやく、元の日常に戻ることができますね。おめでとうございます」
悟「そりゃ、どうも。で、なんでこんなとこにいるんだ?って言いたかったんだが、お前如月に幽鏡術使って負けた口だろ?」
橘は貴方達の背後を指差す。そこは先ほどの衝撃で壁が崩れ、小屋の裏手が見えるようになっていた。そこには1人の男が倒れている。それは橘龍黒本人であった。
橘「おっしゃる通りです。俺はここで奴と戦い、そして負けました。今はこうして、魂だけがこの世界にしがみついています」
月島「そうなんですか?」
晩野「いつから?」
橘「……最後に、俺のことをお話ししましょう。俺の昔の名前は御上龍黒…天白とレティシアとは腹違いの兄妹でした。」
悟「つまりは、俺が探してたのはお前だったって訳だ。にしても解せないのはお前と如月との因縁なんだが。それも話せるか?」
橘「…天白が裕一の汚職と、それによって殺された宮塚高樹のことを知ったのは、全て如月弦那が仕組んだことでした。奴は天白と接触して、裕一のことを吹き込んだんです。それを知った天白が殺され、そして俺が裕一を殺すことも…」
狭間「奴の考えたシナリオ通りだったと…」
橘「そして如月弦那は俺に決闘を言い渡してきました。あなたと同じようにこの場所で」
春田「そのは、なぜ貴方に?」
橘「御上家は本来、明野村の家系です。明野村では代々、その家系で生まれた長男を剣士に育てるという掟がありました。御上家の長男である俺は、奴基準で見れば剣士でもあり、それも最後の1人だったんです。奴は俺を殺すためだけに天白を唆して操り、自分自身を恨ませた。そしえ天白から貰った【幽鏡術】で奴に挑みましたが、勝てなかった……昨日の夜のことです」
伊角「昨日の夜ということは、私たちが襲われた時と同じ時間帯か。」
橘「おそらくそれは、俺との戦いのすぐ後でしょう」
悟「だが、奴はあんたとの戦いでも結局、満たされることがなかった。だから俺たちを次の標的に選んだ」
橘「しかし、あなた方のおかげで奴は消えた。みなさん、本当にありがとうございます…これで俺も…ようやく消えることができる」
橘の身体が次第に薄くなっていく
橘「悟さん、最後にお願いがあります。貴方は今、あの三面鏡を持っていますか?」
悟「ああ、持ってる。」
橘「その鏡は俺が昔、天白とレティシアにあげた物です。そしてレティシアももうすぐこの街にやって来る。もし会えたなら、それを渡してあげてください」
悟「ああ、本物のレティシアに渡せばいいんだな?」
橘「どうか……お願いします……」
そういうと橘の体はどんどんと薄くなっていき、消えていく。
こうして事件の犯人は消えて、街にはいつもの平和が戻った。
それぞれの自宅へと帰り、元の日常へと戻る。
それから一週間が立った時、俺達へ春田から電話があった。その内容とは「御上家のお墓があるのでそこに墓参りに行かないか?」ということであった。
俺たちは御上家のお墓の前でもう一度集まることとなる。その日は奇しくも、伊角達が事件に巻き込まれた時と同じように、雨の日であった。
悟「あれから一週間か。シナリオ報酬なしで下がれるか!と思ってたが、まさか時間経過で貰うことになるとは…」
月島「もしかして続編があるのか!?ってビクビクしてましたもんね」
狭間「まあ、これでシナリオも終わるんだし、いいんじゃないかな?」
伊角「それもそうだね。」
悟「どうか安らかに…」
全員で墓にお花をお供えしたあたりで、後ろから春田の声がかかる。
晩野「どうやら、春田も今来たようだ。」
春田「すみません、少し遅れてしまいました。すでにみなさん、集まっているんですね。この人をみなさんに紹介しようと思いまして」
春田の隣には1人の女性が立っている。それは御上天白とは瓜二つの女性である。
春田「彼女がトーマ=レティシアさん。天白さんと龍黒さんの妹です。つい先日、フランスから日本に留学してきたそうです」
レティシア「トーマ=レティシアです。事件のことは春田さんから聞きました。皆さんのおかげでその事件も解決されたと…ありがとうございました」
月島「あの、先日ですか?」
レティシア「一昨日です。フランスで母が去年亡くなって、姉のいる日本へ留学しようと思ってこの街に来ました」
月島「悟さんとは会ってるんですよね?」
月島が詰め寄るとレティシアは困惑した表情で話す
レティシア「え、えっと、たぶん初対面だと思いますけど…」
月島「あ、あれぇ…?」
悟「初めまして、トーマ=レティシアさん。俺の名前は中川悟、レティシアさんは右利きなのですね」
レティシア「そう言う貴方は姉と同じ左利きなのですか?」
悟「いえいえ、実に姉の方に似ていたので、ちょっとした本人確認ですよ。」
レティシア「は、はあ?」
やっぱりな、あの時会ったのはトーマ=レティシアじゃなかった。既に亡くなっていた天白さんだったんだ。最初こそは普通の人間かと思ってたんだが、心理学ロールが利かなかったのは、コーヒーカップが割れたのは幽霊だったからってので説明がつく現象だった。
悟「それと、大切な方から預かってるものがありまして。」
俺は三面鏡を手渡す
レティシア「これは…あの時の鏡」
レティシアは傘を畳み、その鏡を受け取る。そしてポケットから一枚の写真を取り出した。それは三人の兄妹が写っている写真。
レティシア「やっと、私たち三人が一緒になれました。もう二度と……離れません……」
写真を鏡の中に閉じて、静かに佇むレティシア。そこには雨の音だけが響いていた。
あの事件から数日後、俺達に一通の手紙が届いた。それはレティシアからの手紙であり、事件のその後と自分がどうなったかを綴っていた。
手紙の内容
お元気にしていますか?
私は今、姉の通っていた大学へと編入進学しました。姉の友達から姉の話が聞けることがとても嬉しいです。
あの事件の後、例の実行犯との裁判もわたし一人では分からないことだらけでしたが、心優しい弁護士さんが親身になってサポートしてくれました。後から刑事さんに聞いたんですが、犯人の逮捕にも皆さんが協力してくれていたんですね。
それから美容院でアルバイトも始めてみたりしました。日本語がまだまだ苦手な私に、店長は優しく教えてくれます。
みんな優しい人ばかりで、この町でも何とかやっていけそうです。本当にありがとうございました。またきちんとお礼をしたいので、今度みんなで食事にでも行きましょう。
--レティシアより
悟「何と返事が早いこった。明野町を離れて数十日が立ったが向こうも元気そうで何よりだ。」
俺は事務所の窓から景色を眺めながらコーヒーを飲む。
悟「カフェイン入れたところで、探偵仕事頑張りますかね。お前も、今日ばっかりは言う事聞けよ?」
「わ、わかってますぅー!」
悟「だと良いんだが…」
クトゥルフ神話TRPG"鏡鏡鏡" 完
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クリア報酬
SAN値+1d10+1d6
[伊角
1D6+1D10→7
SAN75→82
晩野
1D6+1D10→9
SAN71→80
月島
1D6+1D10→12
SAN79→91
悟
1D6+1D10→5
SAN81→86
狭間
1D6+1D10→9
SAN62→71]
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