上 下
77 / 83

第七十九話 クソピエロと仮面ライダー

しおりを挟む
 伊角たちと別れて沈みかけの夕陽に照らされながら宿泊中のホテルへと戻るため道を歩く。
 人はほとんどいない。学生の姿はなく、早期帰宅のサラリーマンがチラホラとは見えるがホテル周辺まで近づくまでに見たのも数人程度。
 連続殺人事件が与えた世間への影響は意外にも大きかったようだと改めて思う。

 辻斬り男、如月弦那との決闘の約束があるからか、写し物を見ても異様な気配がすることは無かった。
 しかし、ホテルへと向かう道中、それ以外とは全く異なる別の視線を密かに感じていた。まるで虫が近くにいるような胸糞悪さと鬱陶しさをも感じる。 最初こそ如月かとも思ったが、先も言ったがやつとは約束をしてある。そう簡単に破るようなやつでは無いのは一度言葉を交わしたからわかっていた。

 俺は一度立ち止まり、背後に振り向き直す。

 悟「俺のことを憑けてきてんのか?いるなら出てきやがれ!」

 そう声をあげて、ストーカーを炙り出すと

 「なんや、尾行気付いたったんかいな。なら早よ言うてくれや。」

 声の抜けた関西弁で話す仮面をつけた男が物陰から這い出るように現れた。
 仮面の色は白、そして花柄の研究服に緑の髪。その姿は間違いなかった。

 悟「テメェ。ンガイの森を燃やしやがったピエロ野郎じゃねぇか…今度は俺単独を狙いにでも来やがったのか?」

 宿依「なんや、気付いとったんかいな。ほな初めましてということで自己紹介。ワイの名前は宿依死男。エパナスタシの第三幹部や。よろしゅうな、中川悟はん。」

 悟「エパナスタシ…?聞いたことの無い組織だな…」

 COCには教団なるものが存在するが、こいつの言っていた「エパナスタシ」何て言う教団の話なんて聞いたことないぞ?

 宿依「なんや、知らへんのか?ままええわ、とにかくお前さんは、こっから先には進ませへんで」

 悟「何だ時間稼ぎにでも来たのか?」

 宿依「そんなことわざわざ言うアホがどこにおんねん?」

 悟「だったら、一つ聞きたいことがある。なんで、あんな惨状を作り出した?お前のせいで多くのけが人が出たんだぞ!?そいつらに対して申し訳ないと思わないのか!?」

 宿依「んなもん1ミリも思ってへんで?そこにおんのが悪いんやからなァ~???」
 
 悟「じゃあ何の目的で!?」

 宿依「実験やねん、じ、っ、け、ん!新しく作った混ぜ物くんがどんだけの被害を出すかの実験や。実験には犠牲は付き物やろ?さやから多めに見てちょ」

 悟「は?」

 宿依「それにしてもホンマにええデータ取れたわぁー。対人間相手に加えてムーンビーストとのタイマンも勝っとたなぁ!ボロボロに負けて全身に大火傷負っとったのは傑作やったなァ!!!し、か、も、敵組織の資金源の一つも絶たれて一石二鳥やわー」

[悟
 拳銃(75)→スペシャル(8)]

 宿依「あぁ?」

 悟「そのふざけた口を閉じろ、クソピエロ」

 宿依「なんや怒っちゃったんか?ギョギョギョ!嫌なこった。閉じたければ自分で閉じろや…」

 悟「今のお前の発言で完全にプッツン来た。最もスペシャルで、最もファンブルで、そして最もクリティカルなやり方でお前をぶっ潰す。」

 俺はミトスドライバーにスマホを装填し変身の構えを取る

 宿依「ほう…やってみぃや」

 悟「行くぞクソピエロ、変身ッ!!!!」

 宿依「それが噂に名高い仮面ライダーミトスか…どうやろ本気も本気のようやし、ワイも本気武器で相手したるでェ」

 宿依はそう言って禍々しい異彩を放つギターのようなものを取り出す

 悟「何だ?自分が死ぬ前に一曲引きたくなっちまったか??」

 宿依「せやな、ここでお前を殺してもこっちにとっては逆に不利になるなァ、計画も破綻や。せやからワイが奏でたるからせいぜい踊りいや!!」

 そう一言、言い放ち宿依がギターを弾くとその形が変化していく。

 悟「その変形機構…まさか音器か!?」

 宿依「ピポーン!正解や。弦音器Gアックス、ワイのお気にやァ」

 俺の持ってる音器と何かが違う?俺のと比べて禍々しいものというか…そもそも論何でクソピエロが音器を持ってやがる?あれは萬さんが作ったものじゃ?

 宿依「なんやぼーっと立ち止まって、うへんのか?せやったら、こっちから行くでェ!!」

 Gアックスを振りかざし宿依は悟へと接近する。

 宿依「食らえや、ワイの本気の一撃」

[宿依
 斧(70)→成功(16)
 ダメージ 1D8+2+1D4→5]

 悟「そんな鈍っちい攻撃が俺に当たるかよ!!」

 俺はそう言い放ち回避を試みようとするが

[ミトス
 回避(90)→致命的失敗ファンブル(97)]

 悟「しまった!ファンぶった……ぐはっ!?」

[ミトス
 HP18→11]

 悟「あれ?ファンぶったはずなのに想定してたダメージが少ない?」

 宿依「酷い身のこなしやなァ。ダイス運に頼りっきりやからそうなるっちゅうんに。せやからあの時も救えへんかったのかなァ~???」

 悟「行ってくれるじゃぁねぇか、このクソピエロが。言っとくけどなあの時は運に頼ったのは一度きり、今回も同じだ。だからこっからはお前が望む通りに戦ってやるよ!!」

 《スキャン!アプールヴ!WMC:ミトスガンブレイド!》

 変形させた銃剣で宿依に対して銃を乱射する。しかし、それを宿依は軽々と避けてみせる

 宿依「どないしてん?全然当たらへんで??ダイス運だけでなく銃の腕前も一級品やなァ!!ギョギョギョ!!!」

 悟「だったら、100ファン以下のクソさのお前に、とっておきの一撃喰らわせてやるからちょっと待っとけよ?」

 カードホルダーから二枚のカードを抜き取り使用する。

 《スキャン!アプールヴ!SMC:治療ヒーリング!&銀の鍵キー・オブ・シルバー!》

[ミトス
 2d3→6
 HP11→17]

 悟「一撃で沈めてやるから、歯ァ食いしばりなァ!クソピエロが!!!」

 そう言い残して悟は白い光に包まれて姿を消す

 宿依「消えた?どこに行きおったんや?」

 周囲を見渡してもクソピエロの視界には無人の通りしかなかった。

 宿依「逃げおったんか。まぁええわ。今はまだワイらにとって利用価値の高い存在やからな。せいぜいあの黒武者に負けんことやなぁ、ギョギョギョ」





 一方その頃

 悟「ブワーッはっはっはっ!!!正々堂々真っ正面から戦うやつがどこにいると思ってんだバァーカ!!道化なら道化らしく一人で踊り狂ってやがれクソピエロ!!!」

 ホテルの自室に瞬間移動して俺は高らかに勝利宣言をした。

 SサポートMミトスCカード治療ヒーリング
 指定の対象のHPを2d3回復することが可能。他者にこのカードを使用した場合HP回復に追加して火傷なども治療することができる。

 SサポートMミトスCカード銀の鍵キー・オブ・シルバー
 朝日、または夕日が照らしている時間帯のみ使用可能。使用者が思い描いた風景に一番近い座標へと瞬間移動することができる。
 
 サポートミトスカード、通称SMCは伊角が魔術やアーティファクトを俺に支障が出ない程度に調整を施した言うならばインスタント呪文、アーティファクトだ。伊角曰く「最初こそ君の肉体での呪文やアーティファクトの行使はどんな肉体的、精神的作用を引き起こすか分からない」とのことで能力を各自調節しているそうだ。
 
 それにしてもあの宿依死男とか言うクソピエロ、一体何者なんだ?エパナスタシとか言ってたがそのンガイの森と、いや、萬さんとどう関係してるんだ?まあクソピエロがシナリオの関わってないだけマシか。
 決闘まで時間あるしコンビニ飯でも食べるかね。あっ、エナドリも入れるか!おっといけねえ調整しとかねぇとな、キャラシの調整をな…
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

性転換タイムマシーン

廣瀬純一
SF
バグで性転換してしまうタイムマシーンの話

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

現実的理想彼女

kuro-yo
SF
恋人が欲しい男の話。 ※オチはありません。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...