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第七十八話 作戦決定

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 渡されたのは7つの巻物だった。


 【幽鏡術 -刀月清-】
 刀月清とは、刀を月光で清めることで退魔の力を与える術である。 月光で清めた刀は、あらゆる魔の物の体にその刀を通す。 先代たちは、この術で不死の妖魔を祓ったと云われている。
 満月の夜、湖の側では最も力を発揮し、一振りで刀身から光を飛ばし、下等の妖であれば真っ二つに切り捨てられる。妖魔の弱点が露わになると、刀身が光る。本来は刀に使用するものだが、刃があれば如何様でもその力を与えられるだろう。
 発動には満月の夜に、月光を刀身に反射させて心の中で呪いを読む。 「我が身の鋼。刀に宿すは、空分かつ光。妖起つならば、一糸纏わぬ」
 刀とは身を守るもの、自身と同然である。 それを清めるとは、自身を清めることになる。 悪しき心あれば、刀は忽ち人を傷つける。それは他人だけにあらず。
 使用者は1d10のMP消費。 SAN消費でも代用可能(これで発狂することはない)。消費MPによって数値が変動する。
 MP2ポイントごとダメージに+1d6

 【幽鏡術 -解欄-】
 解欄とは、魔術や魔法陣の解体、解除をするために使われる術である。魔術には必ず使用者と対象物が存在する。 解欄を使えばそれらを結ぶ青い糸が見える様になり、魔力の集中している場所は赤く光って見える。
 この術はいわば設計図を見るだけであり、これだけでは魔術の解体はできないため注意が必要である。
 使用者は-1のMP消費

 【幽鏡術 -服従-】
 服従とは、 妖を操り、 駒として戦わせる術である。 術をかける際に対象の周り、 半径50メートル以内に藁人形を設置する。操る対象の強さによってこの数は異なってくる。そして対象には、 木製の首輪をはめることで洗脳が可能になる。(首輪の大きさはどれだけでも構わない。)
 対象は首輪を外すか、藁人形を壊されない限り術による洗脳が解かれることは ない。藁人形には和紙を巻き、 術を使うものの血を馴染ませる必要がある。 駒に対しては血の文字によって指示を出すこともできる。
 本来は妖に使うべきこの術は、力に長けた者ならば人も操ることが可能になるため、その行為を固く禁じる。

 【巫血漿 -破魔 -】
 破魔とは、巫の血を妖に打ちこむことで、 妖の力を抑えこむ術である。 幽鏡寺で巫の儀を受けたものは、魔を打ち破る力を与えられる。それは後継にも影響を及ぼすが、年々と力は弱まる。 しかしどれだけ長い年月が経とうと、受け継がれた血脈には相応の力が宿るだろう。
 巫の血には魔の物が触れるだけで身動きが取れなくなる破魔の力が宿っている。血を少量染み込ませた布などを自らの手に巻き、こぶしで巫の血を直接与えてもいいが、実戦的にするならば刀や弓矢などに巻くのがいいだろう。
 巫の血には強い力が宿っているが、しかし連続で打っては妖とて耐性を持ってしまう。 劇薬を打つより少しずつ弱い薬を与えるのが効果的なように、 妖にも耐性が付かぬよう注意して打つべきである。
 当たった敵は1ラウンド行動不能になる。 2ラウンド連続で与えてしまうと、それ以降は効果が適用されるのに1ラウンド分かかってしまう。
 巫は1d3のMP消費で作成。 SAN消費でも代用可能(これで発狂することはない)。 巫の血を使うため、 巫に1ダメージ。

 【巫血漿 -福音-】
 福音とは、巫の血に触れることで妖から受けた傷を癒すことができる術である。 巫の血には、妖のあらゆる攻撃から受けた傷を癒す効果がある。 傷が妖による物ではない場合、この術は効力を発揮しない。
 あらかじめに巫の血を染み込ませた布を腕に巻きつけた状態であれば、行動を消費することなく発動できる。
 使用者は1d20のMP消費。 SAN消費でも代用可能 (これで発狂することはない)。 回復量は3d6。
 巫の血を使うため、巫に1ダメージ(この術で回復することはできない)。


 【巫のリスト】
 御上、姫崎、春田の苗字が記されている。

 【幽鏡術の一覧】
 ・【幽鏡術 -黄泉還り-】
 ・【幽鏡術 -炎陣-】
 ・【幽鏡術 -刀月清-】
 ・【幽鏡術 -解欄-】
 ・【幽鏡術 -服従-】
 ・【幽鏡術 -破魔-】
 ・【幽鏡術 -福音-】

 悟「どれも強力な呪文だな、刀身を清めるより強力だが発動条件が難しい【幽鏡術 -刀月清-】に、魔術の解体ができる【幽鏡術 -解欄-】!」

 伊角「服従の呪文【幽鏡術 -服従-】……」

 狭間「それに巫血漿の【巫血漿 -破魔 -】と【巫血漿 -福音-】」

 悟「あれ?足りなくね?」

 信代「おやおや…その黄泉還りというのが、弦那様が持ち出した術でございますね。これは不老不死について研究された魔術なのです」

 伊角「ではなぜ複製が作られていないんだい?」

 信代「あまりに危険だった故、複製品もございません。それから炎陣という術も鏡水と同じように盗まれたのです。おそらく同じ人物でしょう」

 悟「こっちの炎陣ってのは?」

 信代「名前にある通り、対象を燃やす術です。力に長けた者であれば一瞬にして山火事を起こせるほどに強力なため、こちらも複製は作られておりません……うふふ、人というのは得てして強き力に魅入られてしまうのでしょうね」

 俺たちが巻物を読んでいる間に信代は日本刀を一本持ってきます。

 信代「その刀月清の術を使うのに、この刀は役立つでしょう。どうぞ持っていってください」

 悟「おっ!助かる、これでができる。」

 また信代から手鏡を人数分渡される。

 信代「皆さん、幽鏡術をお使いになる前に一つだけ、話さなければいけない事がございます。幽鏡術を使った場合に起きる、呪いについてです」

 悟「え?俺もう使っちゃったんですけど!?!?」

 信代「すべての人がそうなる訳ではありません。ただし精神力の高い人間はこの呪いを受けてしまいます。この呪いは特殊な者でして、その者の生が尽きたときに起きる者なのでございます」

 悟「生きてる限りは支障はないんだな?」

 信代「はい…しかし、幽鏡術を使った後に息絶えた者はその魂を現世に囚われてしまいます。そして現世から成仏するには生前のときに叶わなかった望みを果たしたときだけ」 

 悟「悔いなしで死ねるならむしろメリットじゃ?なんにせよ、ここまでしてくれてありがとうございます、信代さん。」

 信代「うふふ、お役に立てたようで何よりです。巻き込まれた貴方たちにこのようなことを言うべきではないのでしょうが、どうか弦那様を止めてあげてくださいな」

 悟「ああ、必ず止めてみせる。だから安心して成仏してくれ。」

 月島「成仏って??」

 信代「それでは皆さん、ご機嫌よう…」

 「……………………………………………」
 
 そういって体が徐々に薄れ、まるで風になびかれた砂のように信代さんの体が消えっていった。

 悟「これまで会ったやつらも幽鏡術で取り残されたやつがいたのかもな。一人は確定してるが」

 狭間「僕たちが会った中で幽霊がいたの?」

 悟「推測だがな、お前たちとは会ったことが無い人で一人確信付いてるのはあるんだが。」

 晩野「少しいいだろうか?」

 悟「ん?どした?」

 晩野「悟さん、伊角さんが言った幽鏡術は我々も扱えるのであろうが、ここにいるメンバーで巫血漿で扱える者はいない」

 月島がリストを見て気付く。

 月島「春田さんの苗字が載ってますよ!」

 悟「あっ!そういうことか如月弦那!あいつ先手を既に打ってたのか。」

 月島「どういうことです?」

 伊角「巫血漿を扱える人間は既に如月に操られているか亡くなっている。それに姫埼の家計も既に会っているのは信代さんだけ、それに信代さんはまだ結婚していないからその子孫もいない。」

 悟「そういうことだ。俺たちができるのは幽鏡術だけって訳だ。それに春田さんは【幽鏡術 -服従-】で操られてるで確定だ、しかも操れれている状態で巫血漿を食らったら」

 晩野「ムーンビーストの月島君と」

 狭間「イス人の伊角は…」

 伊角「身動きが取れなくなってしまうと。これは厄介だね。」

 悟「ただでさえ如月との戦闘では伊角達では動きを読まれて不利だってのに、春田さんまでも対神話生物戦法を取られるとなると厄介極まりないな。狭間と晩野はどれくらいやれる?」

 晩野「私は一応武術は学んではいる。ダメージボーナス込みで2d3+1d6しか打点がない」

 狭間「僕もマリクを使えば戦えなくはないかな。」

 悟「二人とも脳筋戦法は取れるか…なら春田さんはお前らに任せる。月島ちゃんも伊角も無理だけはしないようにな。後、晩野」

 晩野「なんだ?」

 悟「島に行く手立ては船長さんが船の行くってので合ってんだよな?俺が泊まってるホテルとの位置関係上お前らの方が先に着くと思うから待っててはくれないか?」

 晩野「そんなことか。もちろん船長には話しておこう。」

 悟「サンキュー!それじゃ一旦解散、決戦の時のために英気を養っとけよ!」
 
 
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