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第四十四話 過去の記録

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 「こちら観測部隊、敵対者の出現を確認。突撃部隊とな距離約50m。突撃部隊は敵対者が罠にかかったと同時に突撃を行え。」

 「了解。」

 「たかが1匹の人間如き我々一体で十分ではないでしょうか?観測部隊の私のようなミ=ゴでさえ1匹程度殺すなど容易いことですが。」

 「潜入させたイス人3人との連絡が途絶えている。任務は三日で終わらせて帰還するはずなのだ。何かがあった時には信号を送るよう伝えてはいたが、既に五日過ぎだ。有り得んだろう、あの場所には白痴の王とそれを囲む従者たちさらにはあのニャルラトホテプがいるのだ。仮にも仲間が精神空白化装置での無力化に失敗したとて、その従者やニャルラトホテプたちとの総攻撃で死亡するはずだ。」

 「では...あそこに居るのは...。」

 「ああ、おそらく掻い潜ったのだろう。」

 「有り得ない、そんな事が人間にできるはずがない。」

 「こちら突撃部隊。対象が罠にかかりました突撃を開始します!」

 「ま、待てお前たち!」

 「馬鹿な!何なのだこれは!あれはまるで......グギやァァァ!!」

 何かに襲われたかのような断末魔を上げ通信が途絶える。慌てて中継を覗き込むと、そこには地獄が広がっていた。

 辺り一面に同胞の死骸が広がっている。

 食われ、焼かれ、溶かされ、壊された。

 数多くのの死骸。
 その死骸の中心に佇むのはアイツは同胞を含めた神話生物に囲まれていた。
 側から見ればアイツは追い詰められているように見えるが、その光景は叶うはずのない願望であると理解させられた。

 アイツの周りにいた同胞を含めた神話生物らは全てアイツに向けて首を垂れていた。

 そしてアイツは渦巻く炎の中独り言をぼやいている。

 「アッハハハハ!素晴らしい!素晴らしいよ!この力!憎き神話生物供が首を垂れて平伏し、同胞を殺していく様、正に神話生物供における最終序曲レクイエムだ!」

 そして、空中に多くの穴が開きそこから雪崩のように湧き上がる、駆り立てる恐怖、シャンタク鳥、外なる神の従者たちが渦巻く炎に焼かれる死骸たちを貪り食らう。

 「全ての存在の召喚、全技能に+20の補正、数々の呪文……2割程度の力しか奪えなかったが、この力なら。私のいや、僕が願い続けたことがようやく叶う!手始めに僕以外の同胞を全て封印しよう!イス人の科学力があればそれも実行できるはず!そして逃してしまったあのイス人も捕えなくちゃね。あー、それに今見てる君たちもすぐに殺そう。」
 
 「「!?」」

 「アイツがここに来る。逃げるぞ!」

 「だが待て、先の戦闘データを本部に送信してからだ、幸いにもまだ本部の位置はアイツにはバレていない、このデータを送ってからすぐにだ!」

 「わかった、それはお前に任せた。私はアイツを少しの時間でも食い止める。」

 「死ぬなよ。」

 「それはわからない、だが時間は稼ぐ。」

 「頼んだ」
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